R1150RS ブレーキキャリパー メンテナンス | 欧州車かく語りき。

R1150RS ブレーキキャリパー メンテナンス

この夏の東北周遊で19000キロを越えたRS。

購入後、ざっと13000キロを走破、初年度登録より5年の時が経った。
長期放置車両だったと思しき箇所が多々見受けられた車両であったが、コツコツと手直ししたおかげで、いくぶん見れる様にはなった。

車検整備項目をディーラーで受け、中も外も比較的良好な状態に仕上がっている。

そこで、以前から気になっていたブレーキ周りのメンテナンスを雨という事もあり施行しました。

まずはキャリパーをホイールから外す作業。
この車両は17インチホイールに320ミリのブレーキローターを装備しており、キャリパーをホイールの隙間が狭い。よってホイール塗装をしている私の車両はぶつけない様、特に注意深く取り外さないとならない。

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今回も携帯画像なので、非常に画質が悪い。
しかしコッテリと溜まったブレーキダストと油汚れは良く見えるが、ピストンは存在すら見えない程汚れている。

大手量販店あたりで格安のパットを格安の工賃で交換する際、このコッテリとした汚れをピストンに装着したまま戻してしまうのでピストンの動きが悪くなる傾向にあります。

先述したディーラーの車検整備程度ではこの作業は行われていなかった。ま、当然かも。

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ブレーキパットを外す際にこれらの部品を取り外さないとパットは外れてくれない。
画像下がパットを吊り下げるピン、右のベータピンはそれを外れない様に固定するモノ。
W字の鉄板はパットがガタつかないようテンションを掛けるプレート。無いとブレーキタッチが向上する。
レース車両なら必要の無い部品なので本当は取ってしまいたい・・・。
二つある六角穴付きボルトをその鉄板取付用。

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外したパットは同じ位置に戻す。よって装着方向なりに置いておきます。

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やり方はいたって簡単。バケツに水を入れてハブラシを使用して中性洗剤で丸洗い。
激しい洗剤だと汚れ落ちも良いが、ピストンのシールをやっつける可能性大。

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ハブラシと中性洗剤で洗うとこんなにキレイに。4個あるので3個を手で押さえてから、ブレーキレバーを握ると1個だけ出てきます。

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これは秘密でもないが、秘密兵器というとカッコがよろしい。
これでピストンを回すと全周をくまなく洗う事が出来ます。

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使用方法はこんな感じ。突っ込んで回します。

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これを4回繰り返し、左右で8回繰り返すと事1時間。
こんなにキレイになりました。なんとピストンはアルミ製でした。

私のはブレンボでは無くトキコなんですが驚きです。
今でこそ国産600ccや1000ccのレプリカ系には使用されていますが、それもここ数年。
普通は鉄ピストンにメッキ処理である為、放置された車両の殆どがメッキが剥がれて、
とんでもない事になっているものが多い。

私のRSだけでなく現行1200シリーズも恐らく同じと思うが、ピストンにアルマイト処理がされているので、よほど長期間放置しない限り錆びる事はないと思われる。
メンテナンスさえすれば新車のブレーキタッチが甦る。

これらの清掃が終わり、元に戻す。

テンションプレート、パットピン、パット本体も清掃し、グリスアップした後組み込む。

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2枚目画像にあるピンを見るとわかるが、これは汚れだけでなく少々錆びが出ていたので
、スコッチブライトや細かいペーパー等で滑らかに仕上げる。
パットピンはパットを吊り下げているが、そのピンの上をパットが滑っている。
ここに引っ掛かりがあればパットは素直に動けない。

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清掃後のブレーキパットの背面。これは汚れかと思ったら、何やら不明な物質でコーティングしてあった。それが施されていない所は黒くない。

ブレーキパットのバックプレートにセラミックがコーティングされているのは、メタルパットではよくあるが、このコーティングはそこまで硬質なモノでは無く、ほんのり柔らかい。
通常は鳴き防止のグリスを薄く塗るが、これなら必要ない。この柔らかなコーティングなら絶対鳴かないだろう。さすがBMW。よく考えられている。

よって社外のブレーキパットを使用するのは冒険と言える。

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パットピンを慣らした後、グリスを薄く塗る。これも滑らかな動きの為。
そしてパットをキャリパーに挿入しピンで吊り下げ、テンションプレートも取り付ける。

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キャリパー固定ボルトも焼き付き防止とトルク管理の為、少々グリスを塗布。
これを見てアレ?と感じるかもしれない。油なんか注したら緩んでしまうと・・・。

ボルトをしっかり締め上げるには、完全な清掃、そして僅かな潤滑をするのが私の持論。
こうする事で緩み易く、緩み難い矛盾したボルト締付けが可能になります。
ドライで締める箇所も確かに存在しますが、こういった場所は潤滑で締めます。

潤滑した時とそうでない時、同じトルクで締めても締まりが全く違います。
試してみる事をおススメします。

ほぼ2時間で作業は終了。

サーボブレーキのエラーが懸念されますが、問題ありません。
ピストンを出しても、イグニッションをオンにする前にブレーキレバーを握り、ピストンを元の位置に戻す事によって、エラーは出ません。

ブレーキフルードの液面の急激な変化に反応し、エラーが出るとの事なので、それなりの配慮をすれば問題無し。

そして、乗っての感想です。

先ず、なんと言ってもブレーキが掛けやすくなりました。

元々サーボブレーキはカックンブレーキですが、ピストンがスムースに動ける様になった事により、レバーの握りにリニアに反応します。
これならUターン時の握りゴケの心配が少なくなると思います。

普通こんな作業はあまりしないです。しかしこの作業、あなどるなかれ。

ブレーキレバーは握るという動作で、2センチから3センチ程の動きがありますが、
キャリパー内のピストンはせいぜい0.2程度。

この0.2ミリという狭い範囲でしか動かないピストンに1枚目の画像の様なベタベタコテコテの油汚れを押し込めば、スムースに動けなくて当然。

ピストンは油圧で押され、ピストンシールのロールバック、(油圧で変形したシールが元に戻ろうとする動き)でピストンが戻ります。

微妙なコントロールがしにくいサーボブレーキが、尚更しにくくなります。

レースをやっていると走行毎にやる作業ですが、公道車両でも半年に1回、もしくは年に1回くらいはやっても良い作業かと思います。面倒臭いですが・・・。

ピストンがスムースに動ける環境、そしてパットがパットピンを滑らかに動く事で繊細なブレーキングが可能になり、そうする事でブレーキを必要以上に掛けたくなるオートバイが出来上がります。

こんな小さな面倒で地味な作業ですが、終わった後にブレーキを握るとその苦労を忘れてしまう程の効果があると私は考えます。