映画『SAYURI』 | マイノリティー=マジョリティー

映画『SAYURI』

映画はワンシーンでも、観客の頭に残るシーンがあれば、その映画は勝ちだと思う
『羊たちの沈黙』の夜間用ゴーグルに写ったクラリス・スターリングの顔にしかり
『シャイニング』の奥さんの絶叫にしかり
『SAYURI』では、 幼少期の主人公が赤い鳥居が連なる小道を駆け抜けるシーンがある

狐のお面をかぶった少女が、ひょいと顔を出しそうな日本の原風景である

津和野のそれはちょっと有名だ


あれほど疾走感を表現できる場所は他にないのではないだろうか?

通り過ぎていった景色が自分の後ろに巻き込まれていくような感覚が、存分に味わえそうだ


ストーリーの脈絡としてはなっていないはずなのに、そのシーンは映画のラストにも挿入されていた


『めぐりあう時間たち』のラストシーンに、ヴァージニア・ウルフの入水自殺シーンが挿入されている

首の丈まで川に浸かったウルフが、上流に目をやる

川面は光を乱反射させている

この映像を撮影するために、監督のスティーブン・ダルドリーは、巨大なファンで川を逆流(!)させたらしい

このシーン前後の脈絡とは合っていない

おかしな話だ


監督はコメンタリーでその理由を語っていた

「あまりにも美しいシーンだったから」と…


その行為に対して、観客である私はまったく異論がない


最も美しいシーンが観客の頭に残るように、『SAYURI』のロブ・マーシャルも、鳥居のシーンをラストに挿んだのだろうか?


その試みはもちろん、成功したと言える


SAYURIオフィシャル・ビジュアルブック