前回の記事では、いろいろな方にご心配いただき、暖かい励ましをたくさん、たくさんありがとうございました。


幸いなことに、原発の状況は少しずつでも良い方向に向かっているように感じられます。

市内の放射能の数値も、ここ数日で半分ぐらいまで減少して、落ち着いています。

夜を徹して作業に携わっている方々に、本当に敬意を払わずにいられません。


昨日の夜、お布団を敷きながらmonが

「ねえ、おかあさん。あした、なんにち?」

と聞くので

「20日だよ。にじゅう、ね。」と答えると、驚いた顔をして

「まんりょうしき(卒園式のこと)、おわっちゃった!」

と焦り出しました。

「大丈夫。一週間延ばしてやってくれるんだって。出られると良いね。」

というと、ホッと安堵の顔を見せました。


私の住む市では、市立の幼稚園、小学校は卒業式も終業式も中止になってしまいました。

一生に一度の卒業式なのに、可哀想でなりません。

4月でも、5月でもいいから、何か、それに替わってみんなが集まれる機会が持てるようになればいいな、と思います。


今朝早く、我が家では久しぶりの水が出ました。

朝、5時に知ったのですが、日曜だって関係ねー!と飛び起き、洗濯機に衣類をぶちこみました。

それから、一週間ラップをかけて使い続けた食器。

わずかの水でしか洗えなかった鍋も食洗機に入れて。


お風呂には、バケツで洗濯した時の水や、手洗いに使った時の汚れた水がトイレ用にためてありましたから、それを使ってトイレ掃除。

洗面所とキッチンもきれいに磨きました。


水がないと、掃除もできなくて、水回りはとても不衛生でした。


夫がお風呂をピカピカにしてくれました。


午前中に、お風呂に湯をため、久しぶりのお風呂。

残念ながら、温水器の中に砂が入ってしまって、少し汚れたお湯でしたが、シャワーも使えて、温かいお湯が出て、これ以上の贅沢は望みません。

本当に幸せを感じました。


今日は、久しぶりにラップをかけていない食器で食事をし、紙コップではなく、ガラスのコップで水を飲みました。

割り箸ではなく、それぞれ自分の箸で食べました。

それだけでも、とても幸せです。


今日の日のこと、絶対忘れないようにしようと、夫と誓いました。


水のありがたさ。

水を大事にする気持ち。

今日、お風呂に入って感じた幸福感。


私たちは不便な思いをしたけど、この経験が、絶対この後の人生にプラスになる。そう確信しています。


今日まで、子ども達は、たらいにためた水で手を洗っていたので、手を洗いに行くと

「おかあさん、おみず、はいってないよー。」と戻ってきてしまいます。

蛇口から水が出ない、という考えで固まってしまったようです。


実は私も、あの震災の日、照明器具が激しく揺れて、割れてしまったのですが、割れた破片を掃除しようにも、掃除機が使えず、たいへん困りました。

一生懸命、コロコロ粘着テープで破片を取り除いたのですが、その後、電気が来てからも2日間、「掃除機は使えない」と思い込んで、箒とコロコロで掃除をしていました。


また、バケツで洗濯した時も、「昔のお母さんはたいへんだったなぁ~。」と思いつつ、必死で絞って、子どもの下着がのびてしまいましたが、翌日になって「あ、洗濯機で、脱水はできるんだったー。」と気づいたり。


一度、考えが固まると、元に戻すのには時間がかかりますが、水も電気も、なくて不便だった気持ちを大事に大事にして、全部元に戻すことはないな、と思っています。


子ども達は丸一週間ものあいだ、家から一歩も外に出ていません。

家に遊び相手がいるから、まだマシなようなものの、ストレスがたまってきています。


棒を振り回して障子を破いたり(またか!)、開けたばかりのnicoの紙オムツの袋をビリビリに破ったり。

布団の上でジャンプして転んで、頭にデカイたんこぶ作ったり、家の中を走り回って、ステーン!と転んだり。


何より、二人とも、怒りっぽくなって、ケンカが絶えません。


地震の後、やたらとハイテンションな娘達。

かと思えば「おかあさん、て、つないで。」と甘えてきたり。


あの日、子ども達にかかったストレスは、私にははかり知ることができません。


保育園で地震に遭い、先生方と、すぐ近くの、市の施設に避難していました。

泣いた子もたくさんいたようですが、うちは二人とも泣かなかったみたいで。

怖かったなら、泣けばいいのに。

我慢してしまった娘達が心配です。


その後も、外にも出られない上、水がないから、服を汚すな、手を汚すなとまで私に叱られ、自由に遊ばせてやることもできませんでした。


今日、「あの日」着ていた服を、キレイに洗濯してやりました。


この経験から、いろいろ学んで欲しい。


でも、たくさん怖い思いも不安な思いもしたはずだから、そういうものは、全部服の汚れと一緒に洗い流せたらいいのに。


「水を汲む」という重労働から解放されたので、とりあえず、当面は子どもとたっぷり遊んであげなくちゃ、と思っています。

こんなにたっぷり子どもといられることも、あまりないので、時間を大切に使わなきゃ!