全国的に税理士法違反が放置されているらしい件 | ブログ

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簡単に言うと、固定資産税の不服申立てをする際に、代理人を選任する際には、税務代理に該当するので、代理人は基本的に税理士でなければならないのに、税理士以外の者が代理人となるケースがかなりありそう、ということ

 

固定資産税における不服申し立てには、審査の申し出(地方税法第19条)と審査請求(432条)とがあり,どちらも行政不服審査法による手続きとなっています。


行政不服審査法では、第12条で、代理人による手続きが可能である旨定められています。

ここまでをまとめると、固定資産税の課税に不服がある場合は、審査の申し出又は審査請求による不服の申し立てを行政不服審査法の手続きによりすることが可能、行政不服審査法では代理人によってすることができる、この場合における代理人は行政不服審査法の解釈により誰でもよい、と読めます。

ただし、地方税は租税であるので、税理士法の適用があります。


税理士法の適用があるかないかは、2条1項の税務代理に該当するかどうか、です。括弧が多くて読みにくいのですが、
一部を省略すると、

税務代理(税務官公署に対する租税に関する法令若しくは行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)の規定に基づく申告、申請、請求若しくは不服申立てにつき、又は当該申告等若しくは税務官公署の調査若しくは処分に関し税務官公署に対してする主張若しくは陳述につき、代理し、又は代行することをいう。)

となっており、租税に関する不服申し立ては、税務代理に該当することから、固定資産税に関する不服申し立ても税理士法の適用があります。

税理士業務を”業”として行っているかどうかの判断は、国税庁によると

「業とする」とは、税務代理、税務書類の作成又は税務相談を反復継続して行い、又は反復継続して行う意思をもって行うことをいい、必ずしも有償であることを要しないこととされています(基通2-1)。
https://www.nta.go.jp/taxes/zeirishi/zeirishiseido/ihan/qa02.htm#a2-1


反復継続性については、個別具体的に判断することになるようですが、国税局への通知をすることなく税理士業務うを行った弁護士に関する判例では、3回目ぐらいに弁護士に対する対応を税務署が拒否したことが正当とされた事例があったと思います。(ネットの記事ではわかりませんが、判例データベースで全文をみればわかると思います。)※大阪高裁平成24年3月8日
https://www.mc-law.jp/kigyohomu/18832/#5

これらを踏まえると、固定資産税の不服申し立てについて、代理人による書面作成→提出→課税庁からの弁明の受領→それに関する反論→判定の受領 という一連の流れは、税理士法の適用を受ける業務であると考えるのが一般的ではないかと思います。(つまり、所得税における確定申告書提出等の税務代理と同じ扱い)

しかし、「固定資産税 審査の申出」で検索すればわかるように、どうも固定資産税における不服申しての代理は税務代理となるということの認識が全国的に欠如しています。(実際に、だれでもできる、という理解で事務を行っている自治体がある。)

このような事態になってしまったのは、行政不服審査法の代理の規定に対して税理士法の代理の規定が特別法で優先されて適用されることが理解されていないことにあります。

しかし、最大の戦犯行為は「固定資産税逐条解説」という絶版になったままの古い本にあり、
https://www.gov-book.or.jp/book/detail.php?product_id=185749
この本では、不服申し立てについて代理人は誰でも構わないと書いてあるからです。

既に絶版になっている以上、苦情のもって行き場がないのですが、この本を根拠に実際に税理士法を無視した違法状態が全国的にまかり通っていることを放置するのは問題です。

本来は、総務省から固定資産税の不服申してについては、税理士法の適用があること、納税者に不服申して制度を周知する際は、税理士法にも言及することを、通知すべきかと。。

なお、国税における不服申してについては、国税通則法に規定があり、

(行政不服審査法との関係)
第八十条 国税に関する法律に基づく処分に対する不服申立て(次項に規定する審査請求を除く。)については、この節その他国税に関する法律に別段の定めがあるものを除き、行政不服審査法(第二章及び第三章(不服申立てに係る手続)を除く。)の定めるところによる。

となっていて行政不服審査法の代理人の規定である12条は、第二章に含まれていて、国税における不服審査の代理の扱いも、行政不服審査法の代理人の規定に対する特別法である税理士法の規定が優先される、という構造は、先ほどの地方税における代理人の構造と同じ。