「生活保護 プリペイドカード」の検索結果は、みわよしこ氏の記事でほぼ独占されており、この方の影響力はすごいな、と思う。
ただ、大阪市の生活保護費プリペイドカード化は有害無益の記事は、少し残念な内容だと思う。
この記事では、カード会社が手数料という利潤を得ることと、業務を請負う過程での生活保護受給者の買い物情報を得ることを、みわ氏はまず問題としている。
そもそも現在の行政活動一般において、民間事業者が関与していない分野はかなり少ない。いわゆる土木、建築などの公共事業を始めとして、なんらかのシステムの構築、維持管理、業務委託等、挙げればきりながない。これらの事業に関与している民間事業者が、その過程で適正な利益を得るのは当然のことである。他の事業分野と同様に、プリペイドカード事業を受託する業者が利潤を得たからといって、それが直ちに問題になる訳ではない。
また、民間事業者が業務を受託する過程で、個人情報を知り得ることは珍しいことではない。個人情報を適正に管理することを契約に含めたうえで、それを適正に遵守させることが重要なのである。
みわ氏の感覚が正当であるなら、現在の行政機構は、成り立たない。
次に、みわ氏は、アメリカでプリペイドカードでジャンクフードが買えないようにする法案が食品業界の圧力により成立しない「政治」事情を引用している。
しかし、日本で問題視されている生活保護費でのギャンブルについて、業界がプリペイドカードで購入できるものから除外しないように働きかけているといった事情がある様子はなく、アメリカの事情を引用した意味がない文章となっている。
また、みわ氏は、生活保護の最大の問題は、受給者の所得の捕捉であり、プリペイドカードは
その解決策にならない、と主張する。
しかし、生活保護の問題においては、申請者や受給者の所得補足と、受給者の給付金の使途は、異なる性質を持つ別々の問題である。従って、給付金の不適正な使途の問題への対応であるプリペイドカードについて論じている時に、別問題の受給者の所得の補足を持ち出すのは意味がない。
わかりやすく言えば、この肉は脂身が多いのが問題だから脂身だけカットすれば脂肪分が十分に減るのか?という方策の是非を論じている時に、脂身をカットしても調理の際の火力が弱い問題は解消しないから脂身カットはダメな方策だ、と主張しているようなものである。
ちなみに、所得の補足についてはマイナンバー制度により対応することになっている。マイナンバー法が導入される際に制度のメリットの一つとして挙げられていたことでもあり、所得の補足が問題、などと今更主張するのは周回遅れの議論である。
ビックデータについても意味が無いと切り捨てているが、生活保護行政において、行政庁が受給者の必要品を把握できるようになることは、生活保護費の水準の策定に必要なことであり、生活保護者の需要を把握すること自体はそもそも義務付けられていることである。
また、プリペイドカードは、現金給付を定めた生活保護法31条に違反するとみわ氏は述べている。
しかし、生活保護法の条文は、
「第三十一条 生活扶助は、金銭給付によつて行うものとする。但し、これによることができないとき、これによることが適当でないとき、その他保護の目的を達するために必要があるときは、現物給付によつて行うことができる。」
となっており、現物給付も法律上は可能となっている。
プリペイドの利便性といった問題は、確かにあるとは思う。しかし、それ以外の主張は、故意か怠慢のどちらかは不明だが、信ぴょう性にかなり問題が有り、なぜ、このようなレベルの文章が、ダイヤモンド誌やyahooに掲載されるのか理解できない。