今日はこの歌にまつわるお話をしよう
とても美しく切ない歌詞であり、メロディである
まずは聴いていただきたい
この歌を作ったのは早川義夫という人です
伝説のカルトロックバンド・ジャクスのメンバーであり
後に早川書房を作った著述家である
この人は凄く変わった人だと思う
性格的に自分と似た部分があるので
好きではないが著作は読んだことがある
今でも私の記憶に残る印象的な言葉に
『カッコいいことは、なんてカッコ悪いんだろう』がある
多分、私や彼のような自意識の強い人間にしか、
その本当の意味は分からないだろう
さて、サルビアの花の話に戻ろう
この歌にとても美しいものを感じている人には
誠に申し訳ない話をする
この歌詞中で唄われているサルビアとは精子のことを指す
あなたの部屋とは子宮のことを指す
赤い花とは出血のことを指す
世の中の大部分の人はそのことを知らずに
ただ美しいだけの曲だと思って聴いているだろう
美しいものを美しいまま聴けばいいと思うかもしれないが
ワザワザ私がこんなを暴露するのは
ドロドロした歌詞の中に本当の美しさがあると知ってほしい
ちょうど、早川義夫が、カッコいいことがカッコ悪いといったように
人間の本当の美しさとは純粋無垢の中にあるのではない
ドロドロした葛藤から絞り出される感情の中に埋もれているのだ
曲中の人物が語る
あなたとセックスがしたかったという生々しさの中に
結婚を偽物とののしる嫉妬の中に、
本来の人間の偽らざる魂がある
みんなドロドロしたものを忌み嫌うが、人間の中にはこれがある
それを無いものにして美しく取り繕ったところで、
それは本物の美しさにはなり得ない
この生々しい感情を共有した部分で
真実の魂の美しさを感じるのは果たして私だけだろうか
早川義夫の言葉を借りるなら
『醜いものは、なんて美しいのだろう』
みんな嘘っぱちの言葉で美しさを表現するけど
そこに人間がいなければ、それは絵に描いた餅だ
生きるということは決して美しいことではない
だけど、それでも我々は生きている
そのどろどろどろの感情の中に埋もれた美しさを探す以外
真実の人間を探す方法はない
世間で言われる美しいものは、大概、嘘で塗り固められている
我々が見なければいけないのは
美しい嘘ではなく、醜い現実なのである
醜い現実を生きる人間を美しいものと見るのは
果たして私だけなのだろうか
このサルビアの花の本当の意味を知ってもなお、
美しい歌詞だと思っていただけるだろうか?