小さい時から、その違和感はあった

子供の頭ではそれが何かは分からない

幼くとも何かを抱えながら

生きているという意識だけはあった

何処かで違うんだという負い目を感じながら生きた

 

この正体不明の呪縛からの解放が

ある時期から私の生きることへの課題となった

この姿勢は変わることはないのだが

未だに解決策が見つけられないでいる

 

もともと無理なのだ

相手の正体も分らずに、対処の仕方などない

私の中に巣食う未知の生き物は

人生の状況に合わせてその姿を変えた

名前はつけられないように見つからぬように

巧みに変化して正体を隠した

 

 

でも大人になれば多少の知恵はつく

分からずともその経験値がそれを補なう

いろんな医学書、哲学書を読んだ

病理学的に言えば多重人格障害の一種かもしれないが

それを私は哲学的に『性格の多様化』と呼ぶことにした

この言葉は私に限りない安心感を与えた

それでも

苦しい日々が終わっているわけではないし

未だに理解が出来ているわけではないので

文章で説明するのはかなり難しい

 

 

私の抱えているものを知るうえで

ちょっとニュアンスが違うが別の事例で説明する

 

たとえば電車で痴漢がいたとします

凄く卑劣に感じ腹が立ってきますよね

卑しい人間のクズですね

 

一方、線路に落ちた人を

身の危険も顧みず助ける人がいたとしたら

尊敬に値する勇気ある人ですよね

 

でも

もしこの二つを同一人物が行なってるとしたら・・・

 

 

あなただったらどう考えますか?

極端なたとえ話のように聞こえますが

本当は誰にでもこのような二面性はあります

うまく隠したり誤魔化したりしてるだけで

人は神にも悪魔にもなれるという事です

 

 

以前に話したことがあると思いますが

私の人生は常に自分探しだった

性格の両極が複雑に絡みつき

こんな自分は本当の自分じゃないと

否定するばかりの人生だった

 

最終この年齢になって分かったことが一つある

苦しい長い道のりでも自分を否定し続けたことが

本来の自分を認める唯一の方法だと知った

 

否定されることで肯定されるもの

それぐらいにやっかいなものを抱えていた

 

 

 

これは私だけの話じゃない

よく覚えておいてほしい

あなたが思っているあなたは

本当のあなたなんかじゃないかもしれない

人間は悪魔にも神にもなれる

が、

本当の自分は迷路の中のただの迷える人なのだ

世界はあなたが思うほど単純明快ではない

その精神世界は魑魅魍魎の蠢く世界なのだ

そこにいる名前すらない孤独な生き物があなただ

 

 

 

どんなに苦しくとも悟ったふりして誤魔化すな

よい人間だと思う自分を安易に認めるな

そして悪な部分を素直に受け入れてほしい

勝手に都合のよい自分を作っても

それは偽りの人生にしかならない

せっかく生まれてきたのに、

本当の自分を知らず

そんな一生を生きても意味なんかない

 

 

人間は生涯

苦悩し狂気し挫折し続けるものだ

 

 

善にも悪にもならず迷路を彷徨い続ける

迷えることこそ本当の人間の証明だ

人間である限り

この暗黒迷路は果てしなく永遠に続く・・・