私は嘘吐きだという話はすでにした。
これは紛れもない事実なので
言い訳をする気なんかさらさらない。
私は嘘吐きと罵られることを
それほど嫌に思ってはいない。
 
お前に一体何がわかるんだ・・・
あなたの言う真実がどれほどのもんじゃ・・・ 
というふうに思っている。
道徳の本に書いてあるような善も
人からほめてもらえるような正直さも私にはいらない
 
 
正直者=善人
嘘吐き=悪人
であるならば悪人で結構だ
曖昧な不純物が混ざっていないだけましである
少なくとも偽善なんかではない
自分の中では偽善は悪よりはるかに不純物である
 
私の忌み嫌うのは誠実という不正直さ
善人の中にある偽善なる心である
 
嘘の中にある切なさや哀しさは美しく感じるが
この不純物には醜い魂しか感じることができない。
そしてこの不純物の最も醜い部分は偽りの衣をかぶりながら
何の自覚もないことだ。
 
私は嘘をついたことがない。少なくとも真実を大事にする
・・・という厚かましさ
私は誠実に生きてる。少なくとも自分に対して正直だ
・・・という無自覚さ
こういうふうに
自分の中にある不正直さとも、偽善とも戦わないで
そんなもの私にはありませんよと
すまし顔で生きることを厚顔無恥というんですよ
 
あなた方は苦しく暗闇を彷徨う自分の魂と
正面から向き合ったことがあるのか?
どうしょうもない人生の迷路の中で
真実の光を探して気の遠くなるような道のりを歩き続けた事があるのか?
 
 
魂の苦しみの濁りの中から絞り出された一滴のしずくこそが
自分の中の真実の結晶となりえる
そんなに簡単に善や誠実が自分のものになるはずがない
濁りの中を通過してなければ
少なくともそれは純粋な真実の結晶とはならない
 
他人の作った善や、世間から強いられた正直さに惑わされ
自分というものが見えなくなった人達よ!
嘘はダメ、嘘は悪い事と
常識の鎖で私を縛ろうとした人達よ!
偽りの善と見せかけだけの誠実さの中で生きればいい
あなた達は嘘の中にある正直で善なる魂の存在を見ることなんてないだろう