旅の思い出を語りたい

独身の頃は、今よりずっと行動力があって、オーストラリアでワーホリ中に

オーストラリア→日本→ヨーロッパ→日本→オーストラリアに戻るという

ANAの格安航空券(当時1400AUドル)を手に、バックパッカーヨーロッパ巡りの旅へ。

 

27年前のこと。

もうそんなに経ったのかとビックリ。

かなり前なのにそんなに前に感じないこの感覚。

 

モーツァルトやマリーアントワネットに何故か惹かれるものがあったので、迷わずオーストリアから入って、

イタリア、フランス、スペイン、スイス、ドイツ、チェコのあちこちを、1か月半ウロウロ、ブラブラ。

本当は何か月もいられる環境はあったのに、危険への警戒心に疲れ、早めに切り上げ。

 

片言の英語で、それも通じない現地の方々とのふれあい、それすら楽し。

思い出は、それはもう沢山。

お題の語りたい、なんておこがましいけれど手短に、出会った“食“について一つ。

 

それは誕生日前日。ツェルマットのユースホステルでのこと。

ヨーロッパのユースホステルでは、朝食が付くところが多く、

どこへ行っても決まって、パンとジャムと牛乳、紅茶、コーヒーといった飲み物。

ここツェルマットでは珍しく、夕食のオーダーが。

イレギュラーのことで、片言の英語も通じないときて 戸惑いながらも、

付けるか、付けないかだけの事、勿論、夕食付きで。

受け付けをしている中、いい匂いが漂っているんだものね。

 

部屋と旅の最中唯一自分だけのテリトリーとなるベッドを確認すると、匂いに誘われダイニングへ。

大きな窓の向こうには、マッターホルンがすぐそこにあるような、

パノラマの圧巻の景色。

何とも明るくて清潔な空間。

 

夕食のメニューは、パスタ。

パスタだけ。

なのだけれど、大きな寸胴鍋が三つと大量のパスタ。

それぞれによそってくれるおばちゃんがいて

おかわりは、何度でもOK。

物凄く美味しいトマトソースのおかわりの器を手にして、席に戻る途中、

見たことのない緑色のソースを、お皿に乗せている日本人の若者曰く、

美味しすぎておかわりは五回目、だそう。

もう五回目?

そんなに美味しいの?

どんな味?

想像がつかない。

 

もうとにかく席に着いたら、急いでお皿を空にして、、

緑のおばちゃんのところにまっしぐら。

安心したのも束の間、たちまち不安に。

もう鍋底が見える~。

私は何をやっていたんだ~

おかわりは違うものにするべきだった~

と妙に焦ったのも、鮮やかな緑、味の想像もつかない、

とどめは、「おかわり五回目~」のペコちゃん顔が忘れられず。。。

 

何とかギリギリ、最後のひとすくいにあやかり。。。

それはもう感動的な美味しさ。もうお分かりでしょうが、

ジェノベーゼです。

この感動的な出会いは、私の宝物で、

帰国後コンビニに置いてあったイタリアンのレシピ本にジェノベーゼのレシピ発見。

間もなく主婦になり、バジルを育て毎年作っています。

基本の味は、ツェルマットのユースホステルのなべ底の味。

よそってくれた優しい笑顔のおばさんたちが私の先生です。

 

因みに、コンビニで出会ったレシピ本は、ラ・ベットラの落合シェフのものです。

今みたいに有名ではなく、存じあげませんでしたが、

レシピが旅で出会ったもの、そのものだったので感動したのを覚えています。

カプリ島のタコのマリネ。。。とかね。

 

旅してから27年。

遠い昔なのに そうは思えないのは、

旅で得た多くの事が、日常に根付いているからなのかもしれないな。

 

 

最後までお読みくださりありがとうございます。

素敵な夜を。