著者:福島香織
出版:文藝春秋 / 2011年 / 単行本
ジャンル:中国、ルポタージュ
元産経新聞北京特派員という経歴を持つ福島氏。
彼女のブログは中国にいた時から常にチェックしていましたが、著書は未読でした。
経験上、中国に本を持ち込むのは大変です。
以前、日本で購入した本何冊かを、中国に郵送したことがあります。
その中に中国関連の、当然日本語の本なんですが、
目次に「台湾」という文字があったということで、
通関で止められてしまいました。
結局、通関に出向いて処理をしてもらって、それらの本の受け取りに成功したのですが、
その問題の本は没収され、ついに手にすることはできませんでした。
勿体ない、とかよりもいい経験だなぁと思えたのは、自分でも中国に慣れたのだなと感じました。
おそらくこの書もそんな検閲にかかる内容かもしれません。
<目次>
はじめに 「婦女能頂半辺天」
第一章 エイズ村の女たち
第二章 北京で彷徨う女たち
第三章 女強人(女傑)の擡頭
第四章 文革世代と八十后と小皇帝たち
おわりに 『大地』から始まった中国への旅
気になった個所の紹介です。
「私は人前では日本語を話さない。日本人とばれたら面倒だ。下手な中国語で不審に思われたら、モンゴル族の作家小胡と名乗ることにした。」(18頁)
→私の場合は、時に自分は韓国人だということにしました。山東省は韓国人が多いので、その方が都合がいいのです。事実、ある時、付き合いで中国人を交えて飲みに行った際、酔った彼は、日中戦争時代のことを持ち出して絡んできたのです。その場に日本人は私一人で、その頃はまだほとんど中国語がわからなかったけれど、彼が何を話そうとしたのかはわかる気がしました。戦後世代は確実に「反日教育」を受けているので、自分が、自分の言葉で、しっかりと意見を言えない場合は、やっかいなことは避けるに限るのです。
「中国では依然、適齢期になれば結婚せねばならない、という社会的要請が強い。」(117頁)
「他者を受け入れ、自分の血肉とあわせて新たな命を生み出すのは、古今東西、女の性だ。それは生物学的な出産だけではなく、文化や思想をや価値観にも言えるのだろう。とオーセルの話を聞いていて思う。新しい命を生み出すときは、壮絶な痛み、時に流血を伴うが、女は生まれながらに痛みと流血に耐性がある。」(179頁)
八十后というのは、1980年以後に生まれた方たちを指す言葉で、当然九十后という言葉もあります。
このように世代が違うと、言動や習慣が全く異なってしまうこともあり、中国という国の、人々の変化のスピードに戸惑うこともあります。
日本でそれを表す適当な語というなら、「バブル」、「新人類」という言葉が流行した時代や、人たちのことかもしれません。
とにかく、この本に登場する様々な女性たちそのものが、今の中国であり、これからの中国の変化や発展を背負い、また時代に翻弄されながらも、強く生きていくのでしょう。
潜入ルポ 中国の女/福島 香織

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