副題:「豊かさ」という幻想を越えて
著者:辻信一
発行:ソフトバンク・クリエイティブ(ソフトバンク新書)
『ハチドリのひとしずく』(光文社) を監修された、辻氏の現時点での最新作です。
氏は、今年も行われる「100万人のキャンドルナイト」 呼びかけ人代表でもいらっしゃいます。
[目次]
はじめに 人間を幸せにしない経済
1章 幸せって、なんだっけ
2章 幸せですか、日本人?
3章 「豊かさ」の発明
4章 「豊かさ」を問い直す
5章 幸せの経済学
6章 幸せを創るカルチャー・クリエイティブ
おわりに 幸せを想像する力
引用・参考文献
1章の扉にこの言葉が引用されています。
「シアワセってなんだっけ、なんだっけ、ぽんずしょうゆのある家さ。(明石屋さんまによるコマーシャル)」
懐かしいですね、同じ世代の人ならよく知っていますよね。
さんま氏はこの唄で何をいいたかったのでしょう。辻氏はなぜ引用したのでしょう。
正解をぼくが答えられないかもしれないけど、想像することはできます。
そう、幸せってきっと特別なことではないっていうこと。
ぽんずしょうゆを食卓で囲める家、そんな家庭が、少なくなっていませんか?
紹介したい箇所は山盛りあります。できるかぎり引用していきます。
「『森の生活』を著した孤高の思想家ヘンリー・デビット・ソローは、幸福とはなにか、という問いに、「簡素、自立、寛大、信頼」の四つの言葉で答えたという」(23頁)
「これは「幸せとはなにか」という本ではない。ではなんのための本か?まず「幸せ」についてじっくり考えたり、ゆっくり話したりすることがしにくいこの時代に、幸せの前に立ちはだかっている「豊かさ」というモンスターを退治して、しかるべきところに引っ込んでもらおうという本だ。」(41頁)
「「老」と「幼」に共通するのはいずれも単独で生きることができないということだ。と鷲田(清一)は言う。つまり他の人の世話を受けるという形でしかその存在を維持できない、ということ。それが介護とか保護とか養護とかと呼ばれる。しかし考えてみよう。人は共同で生きる社会的動物。他の人の世話を受けないで生命を維持できるものなどありはしない。」(81頁)
[経済システムの変化-三段階説(広井良典)](102~105頁)
第一段階:近代社会の成立期、市場経済というシステムが形作られる段階
第二段階:18世紀後期以降の産業化=工業化の時代
第三段階:一定の物質的な水準が達成されて、商品さえ作れば直ちに売れるといった「モノ不足」が終わった20世紀半ば以降
「インド独立の父ガンジーは、いつも「貧しさが問題なのではない、豊かさが問題なのだ」と言っていた。その意味をぼくたちは理解しなければならない」(160頁)
→後日ガンジーの自伝を読む機会がありますので、そこでまた触れてみたいと思います、お楽しみに。
「欲望というものの中身が、だんだん必要(ニード)から需要(デマンド)へと入れ替わっていったこと。しかもその需要というものが、広告やマスコミの力によって、もともとなにもなかったところに次から次へと無理やりつくりだされていくようになった、ということを。」(168頁)
「これまでの「豊かさ」幻想のなかで常識とされていた3つの常識がある。
①豊かな国の国民は、貧しい国の国民より幸福である
②同じ国の中では、金持ちのほうが貧乏人より幸福である
③人は金持ちになるほど幸福である」(176頁)
「幸福な人々に特徴的な4つの性質とは、第一に自己評価のレベルが高いこと、第二に、自分の人生をしっかりと管理しているという感覚が強いこと、第三に、楽観的であること、第四に、外交的な性格であること。」(178頁)
「広井良典はその著書『定常化社会-新しい「豊かさ」の構想』の中で、来るべき定常化社会の特徴として次の3つをあげている
①物質・エネルギーなどのマテリアルな消費が一定となる社会
②経済の量的拡大を基本目標とせず、量より質を重視する社会
③変化だけを追求せず、「変化しないもの」にも価値を置くことができる社会」(183頁)
「(E・F)シューマッハーは言う。「自然界のすべてのものには、大きさ、早さ、力に限度がある。だから、人間もその一部である自然界には均整、調整、浄化の力が働いている」。一方、「技術というものは、大きさ、早さ、力を自ら制御する原理を認めない」。だからそこには「均整、調整、浄化の力が働かないのである」(『スモール・イズ・ビューティフル』)。」(191頁)
「「豊かさ」という考え方が、地球温暖化という危機をもたらした。それなのに、早くなんとかしないとその「豊かさ」を失うことになる、と恐怖を煽っているわけです。」(228頁)
3章から5章までは、多少の経済学の知識があれば、すんなり読めると思います。一応ぼくは経営学部で卒業し、ゼミではマクロ経済を学んだ記憶がかすかにあるので、問題ありませんでした。
といっても、アダム・スミスの『国富論』(1776年)すら読んでいない、不束者です。
この本ではスミスの論文にも触れていて、今さらながら『国富論』を読んでみようという気持ちが起きました。
もし、経済の基礎がなくても、辻氏の「スロー」な生き方には共感できる部分が多いと思います。
「こんなにがんばっているのに、どうして私は幸せになれないの?」って思っている方の、肩がすっと軽くなる一冊です。
- 幸せって、なんだっけ 「豊かさ」という幻想を超えて (ソフトバンク新書 72)/辻 信一
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