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龍月佐也加のブログ

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高校時代の私の霧子への頼み事は


圧倒的に恋愛相談が多かったが


そればかりでは無かった。


家で飼っていた可愛い仔猫


クロちゃんが突然行方不明になり


ありとあらゆる可能性のあるところを探し廻ったすえ


ついに親友霧子に出番を乞うた事がある。


寝る前に秘密の儀式を行うと


必ず彼女は現れる。





霧子は自信満々な口調で


ー猫ね?と言った。


霧子は何でも分かっている。


黒い大きな瞳がキラキラと輝き


その顔はいつ見ても眩しい。


いつものように鮮やかな手付きで


タロットカードをシャッフルすると


サッと2枚取出した。


1枚目を表に返して


ー車に乗って出かけたわね。


2枚目を開いて


ー連れて行かれたんだと思う


と言った。


私は呆気にとられた。


ーそんなはず無いでしょ、誰が連れ出すのよ!



ー多分あなたのお父さんかお母さん


あり得ない!


父も母もクロちゃんをとても可愛いがっていたのだ。


そして見せられた2枚のカードは


戦車と法皇の逆。


ーご近所の人に猫ちゃんの事で


苦情とか無かった?


ーあった、あった!


いなくなる前日に隣りのおじさんから


けっこうな勢いで文句を言われたわ!


さてはあのおじさんの仕業?


霧子は首を振り


ーあなたのお父さんはあまり動物が


好きでは無いみたい。


もともとこの子は野良猫だから


きっとどこでも生きていけるわ


謎めいた微笑を残し


霧子は消えた。




目覚めた私はただ茫然とするばかり。


確かにあの子は1か月ほど前に


ひょいと家に迷いこんで来た。


飼い主を探したが


見つからないまま


家で飼う事になった子。


よく人に慣れている様子なので


野良猫とは思わなかった。


毛並みの汚れはあっても


なかなかの器量良しで


まだ幼なさの残る愛苦しい仕草に


誰彼となく可愛いがられて来たのだろう。


それにしても家族の誰一人文句を言うものもなく


可愛いがって来たのに


隣家の苦情だけで


可愛い仔猫を捨てるだろうか?


私の頭は大混乱したが


あの戦車と法皇のカードを思い出すと


何となく腑に落ちて


涙が止まらなくなった。


霧子の言う事はいつも正しい。


それだけにこの真偽を


父に問う勇気が私には無くて


未だにそのままである。


いずれにせよ


霧子の言ったように


どこかで元気に生きていて欲しい。


今生きていたら30才を越えているので


それは無理というものだが…。




占いのアリーナ所属🐈龍月佐也加