一郎が故郷の奥州水沢の中学から東京文京区の中学に転校したのは昭和31年のことだった。


一郎はなかなかクラスにうち解けなかった。


転校1カ月の間これらしい友達もできなかった。


ある日、同じクラスで一番背丈のある角石という男から放課後遊ぼうと誘われた。一郎は、何をして遊ぶのかと、なまりのある口を重たく開いてぼそっと答えた。角石は笑って、お楽しみお楽しみと言いながら自分の席へ戻って行った。


何はともあれ、誘われたのだから一緒に遊んでみようと一郎は思ったのだ。