「ああ、なんてこの世はまだらっこしいのだ」

16歳の一郎は大きくつぶやいた。


太陽はさんさんと、風はまだ涼しく、春の日に一代を築こうと考える男として、一郎は思い切り生きる術をまだ見いだせず悶々としていた。しかし、確実には日は経過した。


小学校に入って間もなく、まずは勉学だなと思い立ち勉強に励んだ。おかげで地方で一番の成績はそれ以来だった。学外のスポーツにも打ち込んだ。警察剣道に通い、すでに初段となっていた。


若者が描く空は果てしなく高く広く雲ひとつなく澄み切っていた。