2021.11.16 TUE 札幌 Sound lab mole 18:30~

 

『mole 15th ANNIVERSARY 「15」』  with The BOYS&Girls

 

<セットリスト>

SE:Lost In Time/bloodthirsty butchers

01.366

02.列車

03.30

04.40

05.明け星

06.Forever young

07.手紙 with vo ワタナベシンゴ(The Boys & Girls)

08.ライラック

 

En

09.26 with mole 大嶋さん(on bass)

 

 

16日のライブ前 海北さんが呟いた

 

魔法をかけてもらいに来たよ。

札幌に。北海道に。

 

海北さん、これはズルい。

久々のツイートがこの一言なんだもの。

こんな言葉を毎回の来道の度に聞くものだから

北海道のファンはたまらなく愛おしい気持ちになる。

のと同時に心の中で呟く

「やっとやっとですね おかえりなさい」

ロストインタイムが4年を経てやっとやっとバンドセットで来道した。

待ちすぎて首が伸びすぎましたよ(笑)

 

他の地域は分からないので比べようもないのだけど、

札幌のmusicaで、moleで今はもう閉店してしまったcolonyで

その空間に流れた時間は、いつもお客さんと海北さん、ロストの3人との

濃密な信頼関係に裏打ちされた幸福感に満ち溢れていた。

それはきっと海北さんがbloodthirsty butchersが大好きだからなんだろう。

心の帰る場所、原点の大地。

そこに立つとき、色んな出来事も洗い流されて心に残るのは

癒された優しい気持ちと、幸福感。

そして心おおらかで優く控えめな道民のお客さん。

とても素敵だなっていつも思う。

これが北海道の魔法の正体なのかもしれない。

でも、私たちも海北さんに、ロストに音楽で北海道の魔法をかけられたんですよ。

 

ロストがバンドセットで前に来道したのはもう4年も前。

2017年11月24日のことだ。場所は今回と同じmole。

前日23日は海北さんがmusica hall cafeで弾き語り。

その翌日、三井さんと大岡さんはフェリーで北海道に来てくれた。

そのフェリーの遅延でリハの時間が押してしまい、開場が遅れたんだっけ。

 

海北さんが弾き語りで札幌に来てくれるたびに

バンドで来たいといつも言ってくれていた。

でもそれを遠ざけるかのように2020年初頭から始まったコロナ禍。

ロストの来道はますます遠のいてしまった。

 

だからこそ 今回のロストの札幌ライブは感慨無量の何物でもなかった。

何度も書いて来たけれど海を渡ってライブをしに来ることが

簡単ではないのを知っているからこそ、その一度が宝物になる。

そしてロストほど、地元北海道で観たいと思うバンドはいない。

(あともうひとつある。ピロウズだ)

その理由はきっとロストの音が夜明け前の「藍色」であり

特に初期の曲たち・・・EP「群青」AL「冬空と君の手」「きのうのこと」「時計」の曲たちは

凛とした、まるで北海道の冬の空気を感じさせるものが多いからかもしれない。

 

 

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この日の先攻はボイガル。

地元のフェス活性の火で観たのが最初だ。

活性の火は地元だけじゃなく、北海道全域にファンのいるフェスだ。

フェス自体も手作り感満載で北海道のバンドマンたちが助け合いながら盛り上げている。

ワタナベシンゴくんの熱いパフォーマンスは物凄い全力が胸に迫って唯々楽しかったのを覚えている。

そして翌日NOT WONKの時に会場の後ろで食い入るようにステージを見つめていた姿が印象的だった。

 

この日のボイガル、シンゴくんは

 

あぶないあぶない

危うくロストインタイムの為に歌うところだった

 

と言った。

ロストはシンゴくんが高校生の時に初めて聴いた憧れのバンドのひとつだったらしい。

そんなバンドに「媚びる」自分を嫌った彼の鋭さ。

その音楽への純粋性がとがったナイフの様に純粋で鋭く心に突き刺さってくる。

そんなライブだった。

 

 

後攻 ロストインタイム

SE:ロストインタイム/bloodthirsty butchers

 

「366」から始まった。

最初の一声から海北さんの声にひとかけらの影もない。

表情も3日、下北沢で観た時に比べてとてもすっきりしている。

もうすでに北海道の魔法がかかっていたのか。

2曲目「列車」

これがまた新たな顔を見せる。

珍しいことに海北さんのキーボードから始まるイントロ。

そこに絡む三井さんのギターの音はいつもとエフェクターを変えていたはず。

そしてギターソロ。

藤井一彦さんと共演した余韻を残しているのかいつもよりギターの音にノイズがかかり

キレイというよりもよりエモーショナルな音に釘付けになった。

あれからまた、三井さんレベルを上げてる。凄い。

ギターのワンフレーズでフロアの色を一変させる。その術をすでに身に付けてきたなんて。

 

ここでMC

 

4年ぶりに戻ってくることができました。

僕たちをここにつれてきてくれたのは大嶋さんとシンゴくんです

2人がいなければここに来ることができませんでした。

感謝の気持ちをぎゅーと込めて

そして皆さんに4年分のありがとうを込めて最後まで歌っていこうと思います。

 

そこからの数字曲シリーズ「30」では大岡さんのコーラスがとてもきれいに響く。

三井さんのピロピロタッピングが美しく煌めく。

海北さんの額から流れ落ちる汗の粒。

そして「40」「明け星」へ。

海北さんの歌は淀みなく迷いなく会場を包み込む。

 

MC

 

今年は気合を入れた分、折れかけてキツイものがありましたが、

どうなるかわからないけど来てください

そう言葉をかけてくれたことがどれだけ元気と勇気をくれたかわかりません

 

からの「Forever Young」

 

僕らがいた世界がどれだけ片隅だろうと
ただ名前のない色にどこかで出会うために
諦めきれないままの昨日に別れを告げる

 

まだ知らない景色をいつか見つけるために
夜明け前の暗い街並みにさよならを告げる

 

この歌詞がとても心に沁みる。

 

00年、bloodthirsty butchersの曲からバンド名をつけました。

そして今色んな後輩が僕らの歌を歌ってくれるようになりました。

 

こうMCがあって何とシンゴくんが登場。

シンゴくんがロストの曲を歌うという。

歌ってくれたのはロストの「手紙」

ストレートに混ざりもののひとつもなく響くシンゴくんの声。

そこにコーラスを重ねる、とっても嬉しそうな海北さん。

 

シンゴくんの手紙は、この曲が出た当時の海北さん、ロストを思い出させてくれた。

パンクを纏った頃の色。

シンゴくんの手紙はきっとロストにもその頃を思い出させてくれたに違いない。

そしてインディーズだろうが何だろうがこうして彼らの歌を好きで歌い継いでくれる後輩がいる。

こんな嬉しいことはないよね。

だから海北さん、ホロって来たのだろうな。

視線を下に落としていたから涙は見えなかったけれどきっとコーラスを重ねながら何度も

泣いていたと思う。

 

アウトロの終わらないうちにステージを降りて行ったシンゴくん。

終わった後シンゴくんがこう呟いてくれた。

 

うまく言葉にできませんが、こんなに面倒くさい夜は久しぶりでした。

気づいたら自分の周りでロストインタイムが演奏していて、

自分がロストの曲をフルで歌っていて、

これ以上ここにいると涙が零れてきそうだったので曲が終わる前にステージをおりました。

音楽に出会えて自分は幸せです

 

ロストと同じように

彼もまた荒れた道を切り開くように歩いてきたバンドマンの一人だから。

 

そして「ライラック」

この曲は道産子ファンにとって特別な歌だ。

ロストがこの曲を歌ってくれるたびに私は彼らの中に

北海道が根付いてくれているのを感じることができる。

 

始まりも終わりも別々の僕らが同じ歌を歌っていた

 

コロナ禍は分断を生んだかもしれないけれど、

一人一人の努力でこうして分断からまた繋がる時を迎えつつある今。

それがとても嬉しい。

先にまだ不安はあるけれども、

諦めない限り音楽はまた優しく一人一人に手を差し伸べてくれる。

それは海北さんが常々願ってきたことでもあったね。

シンゴくんの「手紙」はその願ってきたことが目の前で奇跡の様に起きた瞬間だった。

そしてロストとお客さんもまた海北さんの歌う歌をずっと日常の中でもフロアでも

歌っているんだよね。繋がっていること。偶然じゃない。

 

アンコールでは4年前もそうだったんだけどmoleの大嶋さんがベースを持って登場。

本編が終わって掃けるとき、海北さんが自分のベースを持って掃けていったから

想像はできてたけどね(笑)

曲は「26」

この曲で大嶋さんがベースを弾いてくれた。

海北さんに促されて恥ずかしそうに中央に立つ大嶋さん。

そしてあろうことか珍しく海北さんからコールアンドレスポンスのお誘いが。

これだけとっても海北さんがどれだけ嬉しかったのかが伝わって来て胸がいっぱいになった。

本当に本当に楽しくて仕方がなかった「26」

 

終わって海北さんが

 

We are LOST IN TIME!

これからも何回もmoleに歌いに来れるよう頑張ります。また会いましょう!

 

そして大嶋さんと3人が握手を交わしてステージを降りて行った。

三井さんが「あー楽しかった(笑)」とつぶやいてた。

そこに全部が集約されてるのかもしれない。

 

こうして4年ぶりのロストインタイムのバンドセットライブが終わった。

2マンだったからロストがライブをしたのは1時間と少し。

けれどワンマンをやってくれたくらい充実感、幸福感が半端なかった。

ロストが元気に北海道に来てくれた。

同じ場所で、顔がはっきり見える場所で生音を聴いて一緒に喜んで一緒にグッと来て

一緒にホロっと泣ける時間を持てた事。

あっという間に4年間の空白を埋めてしまったよ。

 

さぁ、あとは4年前海北さんがmoleでのワンマンで言った、

「いつか、moleをお客さんで一杯にしたいんだよね」

これを実現する日を楽しみにまた、ロストの音楽を追っかけて行こうと思う。

最高でした。来てくれてありがとうございました。