2021.06.20 SUN at 東京キネマ俱楽部

 

<セットリスト>

01.ライラック

02.手紙

03.告白

04.約束

05.太陽のカフス

06.合い言葉

07.Repentance

08.グレープフルーツ

09.列車

10.希望

11.30

~ポエトリーリーディング~

 「プレゼント」

12.40

13.誰かはいらない

14.ココロノウタ

15.旅立ち前夜

16.きのうのこと

 

En-1

17.366

18.forever young

 

En-2

19.ただ、抱きしめて

 

 

 ロストインタイム結成20周年、デビュー19周年となる今年、2月6日以来の有観客での

バンドセットワンマン「心の中の溶けない飴玉」が行われた。

このライブの1年越しのチケットを持ってはいたけれども、悲しくもこの日は緊急事態宣言

の最終日。私の中には残念ながらこの状況下で東京にいく選択肢はなかった。

5月9日、北海道はまだ緊急事態宣言がでていなかったので海北さんの弾き語りライブが

musica hall cafeで行うことができ、私も行く事ができた。

ソロを聴けば猶の事、バンドセットへの想いが募った。

個人的にバンドセットワンマンを生で観たのは3年前のさくらホール以来になってしまっている。地元北海道の札幌では実に4年前のレコ発以来、

ロストはバンドで津軽海峡を越えていない。

それでもライブ配信をやってくれたので今のバンドセットを思う存分楽しむことが

出来て感謝の気持ちで一杯です。

ありがとうございました。

 

 3年前のさくらホール以来、幾度か配信でバンドセットのライブもやってくれていたロスト。

ただこの年に1度のホールライブはそれ以来ロストの、もっと言えば海北さんの

想いを知る大事な時になっていた。

3年前のさくらホールの、あの、苦しみから抜け出そうともがきながら歌う様を

観てしまった身としてはホールライブこそロストの現在地を知る大切なものになっている。

あれから襲ってきたコロナ禍がさらにバンドとお客さんが直接会うことを阻んだけれども

それに抗うように弾き語り配信を続けてくれた海北さん。

コロナ禍にも拘わらずその積み重ねは、同じように閉塞感やかつてない環境下に

置かれた私たちと海北さん、ひいてはバンドをつなぐ命綱のようになっていた。

 

 そんな日々が、緊急事態宣言がまさに開けようとしている20日、どんな姿を、歌を

バンドの立ち位置を見せてくれるのか。

それを思っていただけに生で現場に立てなかったのはとても残念でだったけれど、

それでも、配信でもきっと同じように思いは伝わる。

そう信じた事は決して虚妄にはならなかった。

というより寧ろたくさんの物をバンドから受け取る事が出来た喜びが一杯だった。

それがどんなに嬉しかったことか。。。

 

 11曲目30が終わった後、海北さんが自作の詩を朗読してくれた。

 

 

 

プレゼント

 

自分というものを 繋ぎ留めていた鎖だと思っていたそれが

実は細い糸で

ほどけて足元にはらりと落ちた時

なぜだか 心は重たくなった

 

希望の朝を待ち侘びて

指折り数えて眠る夜を

何度も何度も繰り返すうちに 気がつく

 

それは

遥か昔にやり過ごした 

ひどく曇天のあの日の朝の事だったのだと

 

プレゼント

何もそれはおくりものという ギフトという意味だけの

言葉ではない

 

プレゼント

それは現在 今 この瞬間 現在を表す言葉でもあります

 

プレゼント

ただ、目の前に置かれている今

 

プレゼント

その箱を開ける時が来ているのかもしれない

 

プレゼント

決断の時だ どこまでも歩いていこう

 

 

ここからの40。

 

いまだに迷子であることは変わらない。

でも、

 

さあ、行こう

みんな 暗闇の中に光を探している

心から笑える日を迎えに行こう

まだ 大丈夫だと言い聞かせて(40より)

 

海北さんにとって

遥か昔にやり過ごしたひどく曇天のあの日の朝

が果たしてどんな日の事だったのかはわからない。

でも、

さくらホール以来、確かに海北さんが、ロストが

様々な葛藤や壁を乗り越えて

今こうして

「バンドって楽しい!」

と嬉しそうに声を大にして叫んでいる姿を

一ファンとして心から喜ばずにはいられなかった。

 

 

ライブは驚きの連続で、

改めてロストインタイムというバンドの力量というものを見せつけてくれた。

例えばグレープフルーツ

このイントロからは誰もこの曲だとは想像できなかったと思う。

アコのこの曲こそ個人的には最高だと思うけど、

曲の別の側面を観れることはファンとしてはこの上なく幸せなことだ。

列車もイントロがアレンジされていて、多分三井さんのギターのイントロも何時もと

エフェクトのかけ方がちょっと違っていたね。

何時もより音色に透明感があった。

そして何といってもチュートロの泣きのギターソロは秀逸でした。

私は榎本くんの弾くギターも大好きなのだけど、違った解釈を聴くのも

おお~、そう来るか~~と

別の感情を揺さぶられるので案外好きなんです、そんなのが笑。

希望では海北さんのVoにディレイがかかってたり(いつもかかってた?)

ベースが曲のキモになってるのに改めて気付いたり、三井さんのギターの音が

イヤホンの右と左を行き来してて、

小高さんが言ってた通りラインを2本ひいていてPAさんが左右に振り分けてるんだなと

わかった。

 

誰かはいらない

厳粛に鳴るギターのコードストローク。

しめやかに動くベースライン。

そしてまた藍色の世界へ連れていく。

 

ココロノウタ

大岡さんのドラムソロから始まったこの曲。

ウォウォウォ~の海北さんのシャウトは初めてロストと出会った時とひとつも

変わらない。

最後に大岡さんの超ロングなドラムソロ。

一旦ブレイクした時に目に入った汗をぬぐう大岡さん。

それが何故かお客さんの笑いを誘う。それが大岡クオリティ(笑)


 

海北さんの声は最初ちょっとトチりながらもライブができる喜びが爆発していて

何時までも衰えを知らずに会場中に響き渡っていたし、三井さんのギターが

海北さんの曲と声をさらにエモーショナルに解釈して聴いてる側の感情を

ロストの色に染めていく。

その色はやはりずっと変わらない藍色で、その藍色がさらに深みを

増していくような感覚を覚えた。

髄所に新たなアレンジメントを加えてくる演奏。

大岡さんの私が観た中で一番長いと思われるドラムソロは圧巻で、

大岡さんのドラムはやはりロックでパンクだなぁと感動しきりだった。

(笑いを取ることも忘れないところがまたいいよね笑)

 

そして何よりも

ライブができること

聴いてくれる人がいること

そして

こんな時だからこそ 想いを唯々伝えたい

そんな気持ちがバンバン伝わって来て胸がいっぱいになった。

 

 

最後のMCで海北さんはこう話した。

 

分断が進んでいくような気がするけれど

気のせいだと思う

僕やあなたの 一番最初に感じる楽しいとか 嬉しいとか

悲しいとか さみしいとか 

きっと同じものだと思います

今日会えたという事は また 会えるという事です

 

 

あぁ、今日の40は決意の歌だったな。

嬉しいなぁ、海北さん、ここまで来たのですね。

それはきっとロストインタイムというバンドがあったから。

大岡さん、三井さん、そして多くのファンがいてくれたからですよね。

本当に嬉しい。

 

ロストはまた新たな歩みを始めた。

20年。

ロストインタイムの新たな始まりだ。