ロストインタイム ワンマン 三井律郎セレクション

2020.11.01 SUN  下北沢 club Que

 

<セットリスト>

01.昨日の事

02.スピンオフ

03.はじまり

04.声(ピアノvr)

05.物語の終わりに

06.小さな隣人

07.所在なき歌

08.Synthese

09.トライアングル

10.No caster

11.26

12.全ての贈り物

 

En-1

13.羽化

14.ハローイエロー

 

En-2

15.鼓動

 

 

 

2020年10月31日はロストインタイムのギタリスト三井さんの39歳のバースデー。

それを祝っての三井さんセレクトによる本日のセットリスト。

ロストのギタリストとして最早13年。様々なアーティストのサポートギタリストとしてだけではなくかつてよく聴いていた江口亮さん率いるステファブのギタリストでもあると聞いてちょっとしたご縁というものを感じている。

 

最近の海北さんも時々口にするけど

 

「ロストインタイムは後悔を歌うバンド」

 

というキャッチフレーズ。

それはきっと1st sg曲「列車」のイメージも大きいだろう。

 

 

あの頃は良かったなんて

言いたくは なかったのにな

 

00年代初期、バンプに代表されるように 何も持っていなくてもキミは存在していいんだ・・・・・・とバンプがすべての命を肯定し引き受けようとパンキッシュでガレージ色を纏ったロックを鳴らしていた時、ロストはそう歌って出てきたこちらもまたバンプとは違うパンクをまとったバンドだった。

 

私はその時も、そして今もなおその後悔を歌う唯一なバンドに

とても許されてきたように思っている。

 

大人になる事は後悔をいつまでも引きずってもいられない。

立ち止まる時間もない。

心は追いついていないのに前にしか行けない。

行くしかない。

 

そこに幾つの後悔を置いてきただろう。

そして、その悲しみの陰にいくつ涙の粒を隠して来ただろう。

 

年齢を重ねるたびに涙から遠くなる。

泣いてはいけない。

大人は強くなければ。

多分それはきっと間違ってはいない。 

けれど。

 

ひとりでこっそりと後悔に悲しみに涙をこぼすことを肯定し、促してくれる音楽。

それがロストインタイムだと私は思っている。

ロストの曲が藍色の時間帯、夜明け前を感じさせるのも、人が一番ひとりであることを感じさせる時間帯だからなのかもしれない。

誰にも見せたくはないし、見せなくてもいい。

そんな悲しみや、孤独や後悔を背負ったひとがその荷物をおろせるときは

必要なんだと思う。

ロストの曲を聴くと時々そんな置いてきた悲しみの記憶が蘇る。

なんで置いて来たんだろう。

それさえももはや覚えてはいないけれど。。。。。

だけど。

ちゃんと悲しめなかった後悔を、気持ちを、ちゃんと悲しめることで

なぜかとても心が軽くなる。

ロストの音楽は私にとってそんな音楽なのだ。

 

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01.昨日の事

まさかこの曲で始まるとは思わなかった。

三井さんのイントロのギターから涙腺が緩む。

2ndALきのうのことを象徴する代表曲でもある。

大サビの海北さんの染み入るような美しい声。

 

冬の抜け殻

さあ 夜が明ける

君に さよなら

 

夜明けと共に さよならを告げる曲。

一度終わりかけてからのラスサビにはいつもやられる。

海北さんの声が夜空と心の中の宇宙の悲しみを優しく覆いつくす。

そして寄り添うギターの伸びやかな音色が漆黒の夜を彩るように。

 

02.スピンオフ

レア曲。ドラムロールから始まる。大岡さんが笑っている。

1曲目から一転のロックサウンド。この落差もロストの魅力の一つ。

三井さんの左手の美しい動き。

そして背の高い三井さんがちょっとマイクに覆いかぶさるようにコーラスを重ねる。

Chuトロでギターソロがさく裂し、トレモロが激しさを増す。その底で海北さんの

ベースがうねっている。歌いながらよくこんなベースが弾けるものだといつも感服。

 

03.はじまり

3rd AL 時計からの1曲。重めの曲が並ぶ中この頃からこんなポップな曲があったのだ。

これは明日が聞こえるにつながる片鱗。

楽しそうにギターを弾く三井さんの

笑顔がステキ。

 

04.声(ピアノvr)

イントロのアレンジが秀逸。この曲とは始め気付けなかった。

こんなアレンジセンスもロストの演奏力の証明だと思う。

もともとしっとりとした原曲だけど、こちらのアレンジもバンドらしくて良い。

海北さんの声と三井さんのギターがエモいので段々曲にエモみを増す。

ピアノを操る時に海北さんのベースのヘッドが下がり過ぎてエレカシ宮本のように

なっててちょっと笑う。途中のギターがとにかくエモすぎる。

エンディング、

 

あの飛行機が 落っこちた事も

夢じゃない

あの街で 流れる血も涙も

夢じゃない

僕はいったい何をしよう

 

2001年、アメリカのNYで起きた同時多発テロの事。

そして、

今起きている現実。逃げずにたゆまずに出来ることをカタツムリの早さで積み上げていく地道な歩みに尊敬を。

 

05.物語の終わりに

ドラムロールで始まるレア曲。

多分初めてライブで聴くと思う。

三井さんはいつも海北さんと一緒に歌いながらギターを弾いている。

まるで歌うように奏でられるのは楽曲の良さと歌詞の意味をちゃんととらえて

曲が一番光る形をわかっているからだよね。

 

06.小さな隣人

ロストの曲の特徴は実はこうしたマイナーコードな曲にある。海北さんの内面の振れ幅がこうした曲に映し出される。決して綺麗ごとだけを歌っているわけではなくて葛藤も弱さも愚痴も隠さない。こうしたところに人間らしさを感じている。

 

07.所在なき歌

これもレアな。

明日が聞こえるは三井さんが初めて参加して録音したALだけど、このAL以降こうした曲がまた、ロストの魅力として加わり今に至っている。

 

08.Synthese

シーケンサー?で最初のピアノ音を録音しそれを流しながら演奏していた。

このピアノの音がこの曲のとても素敵なアクセントになっている。

海北さんのメッセージが込められた歌。

 

僕らは進もう

 

最後の方で画面が180℃回転するのは仕様?笑

 

09.トライアングル

これも超レア。スネアの音が心地よい。

跳ねる海北さん。

 

君を変えられるのは 君でしかない

 

10.No caster

裏海北さんの曲笑

ストレイテナーのOJのエフェクター使いの巧みさがとても好きなのだけど、三井さんのエフェクター使いを初めてはっきり見ることができたのは大きな収穫。

三井さんも相当なエフェクター使いであるのがはっきり分かった。

律郎エフェクトが火を噴いた。

 

11.26

イントロアレンジがベースゴリゴリでカッコイイ。

誰がこのイントロから26だと想像できるだろう。

この曲から三井さんのギターヘッドにお手元カメラ装着。

イントロの高速タッピングと曲途中で三井さんのギターは宇宙の果てまで飛んでいた(と思う)

 

12.全ての贈り物

ALすべてのおくりもののタイトル曲であり、このALで一番好きな曲。

 

さよならを言うためだけに 僕らは生まれてきたわけじゃない

 

そして

 

♪あなたが微笑んでくれたから

 今の僕がきっとここにいるんだね

 

の「ここに」で海北さんが自分の心臓を2回両手で押さえていた。

大好き。

ここで本編終了。

 

アンコール1回目。

選曲の話をする三井さん。

昨日の事を1曲目にしたのは、自分の誕生日が昨日だったからだとか言って笑いを誘う。

にしても1曲目の昨日の事はいい選曲でした。

 

En-1

13.羽化

三井さんが泣いちゃうかもしれないと思って選びましたと。

この曲はもう言うことはないですねぇ。

自分の人生をも聴きながらなぞらえていました。

綺麗なアルペジオが印象的。

 

14.ハローイエロー

最後の大岡さんの「ワン・ツー」の掛け声からの三井さんの見せ場。

イナバウワー炸裂からのギターの残響音まで。

 

ここでアンコール1回目終了

2回目のアンコールの時、最初三井さんだけが出てきた。

お誕生祝いの仕込みをしていたらしくケーキを持って大岡さんが出てきた。

「ロストってあんまりこういうことしないよね」と三井さん。

海北さんのHAPPY BIRTHDAY TO YOUのエモな歌に合わせてギターを弾く三井さん。ケーキのろうそくを吹き消す。

あぁ、私も海北さんにバースディソングを歌ってほしい笑

 

三井さんが照れて「早く曲に行きたーい」

大岡さんが小声で「顔に行きたい」っとぼそっと言ったのを聞き逃さなかった海北さんが暴露w

「俺たちドリフターズ世代だからねぇ~」と三井さんもまんざらでもない様子w

いったんケーキを持って掃けた大岡さんが次に秋田名物のお菓子「金萬」も三井さんに渡す。

「オレもあんまり食べたことないんだよね~」

ガビーン!

そしてついにお客さんを入れての次のライブの告知が!

大岡源一郎 40ッス記念 ハスキンとの2マンが12月20日に。

 

これは大きな一歩だなぁ。

コロナ禍になって最初は海北さんの弾き語り配信から始まった今年。

それはもう一生懸命に、毎週配信でやってくれた海北さんの努力には感謝しかない。

毎週、決まった時間にやり続けるって簡単なことじゃない。

 

それがフタリロストになり、3人のアコライブになり、バンドセットになった。

そして約10か月の地道な活動が、ここにきてお客さんを入れる試みができるまでになった。

この日は当然ながら行けないけれど感無量以外の何物でもない。

本当にこんな律義な人たちいない。

 

そして最後は12月20日につなげるように

これで締めくくり。

 

En-2

15.鼓動

  曲前に、三井さんがロストに加入して13年。

 

「応援される限り続けていきたいと思います」

 

 

ロストインタイムは続いて行くね。

数年前からは信じられらないほど強くなったバンド。

このバンドと共にいられる自分が誇らしく思う。

 

いいライブでした。

ありがとうございました。

20周年、大いに期待しています。