私はこれまでワーキングウーマンを2万人以上取材して、恋愛や婚活、結婚、男女の機微などをテーマに執筆してきました。
大きなテーマでいえば、“女性の生き方”を追求しているわけですが、コロナ禍ではこれまで出会ったことのない女性達の生きざまにも触れたのです。
きっかけはコロナで困窮している女性を取材していたときのことでした。
そこで初めて“パパ活”の実態を知り、パパ活の背景を知りたいと思って「コロナ禍でパパ活をやめた人、スタートした人」という観点で取材を続けていくうちに、パパ活という売春行為の中で、これまでの人生が一変した女性のいたんぼです。実に感慨深いものでした。
その中で、コロナ禍で出会った男性と愛人契約を結んだ女性の、予期せぬ出来事を告白スタイルでお伝えしましょう。
パパ活のきっかけは、コロナ禍の困窮を救ってくれたSNSの男性たち
アーティスト志望の私(杏璃さん、仮名28歳)は、19年に海外から帰国して、バイトをしながら自分の目標に向かっていました。
夢を叶えたいという一心で海外で勉強したものの、帰国後は仕事に恵まれず、両親から生き方を反対されていた私は、実家を出てシェアハウスに入居し、飲食のバイトをしながらオーディションに応募する毎日でした。
ところが2020年、コロナの感染拡大の影響で4月にバイト先の飲食店が休業、たちまち生活が困窮したのです。
親に生き方を反対されていた私は、頼る人は誰もいなかったのです。シェアハウスの家賃を払うと、手元には3000円しか残っていませんでした。
ひもじい思いをしながらスマホをいじっていると、ぺーターズというマッチングアプリにたどり着き、
そこで出会った男性たちに「生活に困っています」と訴えると、複数の男たちからアマゾンの1万円ギフト券が贈られたり、1万円や1万5千円のペイペイが振り込まれたのです。
「助かった!この方法で、乗り越えよう」。
そう決意した私でしたが、助けてくれるのは一人につき一回だけ。そこで「定期的に助けてくれる人が欲しい」とさらにスマホをいじっているうちに「パパ活」を専門にしたアプリに登録していました。
会ったことのない男性から少額でも援助してもらったことに心が揺さぶられていた私は、「会うことを前提のパパ活をやってみよう」とぺーターズで探し続けました。パパ活専門アプリは、抵抗があったからです。それ目的の男性たちばっかりだったので。
最初のデートで愛人契約を持ち掛けた40代後半の経営者
すぐに15人ぐらいの男性とアプリでやり取りをしました。
ピンときた数名と会う約束をしたのですが、最初にデートした40代後半の経営者から「月20万円の愛人契約」をもちかけられて驚きました。
「会った瞬間から気に入ったんだ。だから愛人になってくれ」。
男性は最初から積極的。契約は週に2~3回、ディナーをしてからホテルで休憩する、つまりセックスの相手を引き受けるということでした。
迷うような余裕を与えないほど、てきぱきと慣れた様子で愛人契約を持ち掛けられたときに、「この人なら、安心かもしれない」と妙な安堵感を覚えたのです。承諾したのは、困窮生活から早く抜け出したかったからでした。
家庭のことはあまり話さない人でしたが、妻と子供が二人いることだけは打ち明けてくれました。週2から3回ぐらい、彼から呼び出されて食事をご馳走になりましたが、銀座の鉄板焼きの店や、高級なお寿司屋さんなど、これまで食べたことのない食事に、毎回驚かされてしまいました。
シェアハウスでコロナ感染者が出たので、家賃3万円のシェアハウスから千代田区の家賃7万円のアパートに越すと、初めての一人暮らしに心から自由を得たような気がしました。
コロナでオーディションもなく、SNSでライブ配信をしようと思いましたが、やっと手に入れた自由と安堵の日々に、心から浸っていた時期でした。
引っ越しをしてからもパパ活を続けていました。30代後半の独身弁護士や、38歳の飲食店経営者とも短い間ですが、援助してもらったことがあります。
でも結局のところ、愛人契約を結んだ年上の彼氏に絞りました。理由はよくわかりませんが、彼と一緒にいると「このまま甘えていてはいけない」という、自分に対する戒めの気持ちが湧いてくるからです。
年上の愛人は、一度も怒ったこともない優しい人だったせいでしょうか、甘えてばかりいてはいけないという焦りの気持ちをもたらしてくれたのです。その頃から、アーティスト活動を続けることに自信がなくなっていきました。そのため、このままではいけないという葛藤も生ずるようになりました。
年上愛人の影響でキャリア志向が強くなり転職
私の将来に対する焦りの気持ちと正反対に、年上の愛人との関係は良好でした。
セックスに対する執着が強くて、ときどき彼の実年齢を忘れてしまうこともありました。愛人という職業に徹していたせいか、特に彼に対する不満はなく、従順な私を彼はさらに好んでくれて、その年の12月には愛人料が30万円、そして2021年の3月には月額50万円に昇給したのです。
そこで家賃12万円の港区のマンションに引っ越しをしました。その頃にはアーティスト活動を再開する気がなくなり、前向きな彼の影響だと思いますが、キャリア志向が募っていったんです。
スマホをいじっているうちに、求人広告が目につくようになったので、いつのまにかこれまでの自分が生かせる仕事を探し続けていました。
海外での生活が生かせる「バイヤー」という職種を見つけ、語学力を生かせると思って応募したら、試験が通って、最終面接で採用されました。ところが希望のバイヤーではなく、役員秘書の内定をもらったんです。4年前の秋のことでした。
既にアーティストの夢を断念していましたね。年上の愛人男性は私の就職を喜んでくれて、将来は女性の役員という目標ももたらしてくれたんです。愛人の影響で出世に目覚め、キャリアウーマンになると決めました。
恋愛はダメンズだらけ。すぐに別れた。
愛人のパパには恋愛感情が一切なかったので、寂しい気持ちを埋め合わせるために、自然に恋愛モードになっていました。
一人はSNSで知り合った高学歴のイケメン大学生。食事代は私が払い、ホテルに直行。ところが二人きりになると、いきなり『首絞めてくれ~』と叫ぶドMでした。やる気がなくなり、何もしないでホテルから逃げてそれきり。
二人目もSNSで知り合った40代後半のトラック運転手。いきがっているオッサンが可愛くて付き合ったんですが、一緒に食べたラーメンが美味しい、まずいで喧嘩して別れました。
ダメンズばかりで、私には男を見る目がない。就職すると、仕事と年上の愛人のお相手で忙しかったですね。
他部署へ異動、昇進。だが突然の愛人契約の破棄
翌年、営業部署に異動になり、半年後に昇進しました。キャリアアップを目指していた私には最初の一歩。愛人も喜んでくれました。
部署異動に伴って、仕事が超多忙になったのですが、週2から3の愛人との契約も続行していたので残業ができなくて、早朝に出社して働くこともざらでした。平日の睡眠不足を補うために、土曜日は爆睡し、夕方に目覚めることも多かったです。
順風満帆に思えた私でしたが、人生は何が起こるかわかりません。
去年の5月のある夜、愛人からいつものように呼び出しがありました。4年前、最初にデートした銀座の鉄板焼きのお店で、コースのデザートを食べ終わった頃に 愛人から突然「別れてくれ」と言われたのです。驚きました。
理由は、「妻ががんになった。妻と一日も多く過ごす時間を作りたいから」という理由でした。
愛人契約の終了は、私の結婚のときと勝手に決めていた自分が甘かったと痛感しました。
奥さんに尽くしたいという彼の願いを承諾したときに、初めて「彼を失いたくない」と相反する気持ちが生じたのです。契約のはずでしたが、彼を悦ばせたいという気持ちの中に、情があったのかもしれません。
会社の勢力争いに巻き込まれて転勤。自分を見つめる時間に
愛人契約が終了した私は、転がる石のように、どんどん運気が下がっていきました。
8月には会社内の勢力争いに巻き込まれた上司が失脚して左遷されたのです。後任の新しい上司との折り合いが良くなかった私は、大阪の営業所に異動が決まり、転勤になりました。
ところが知り合いが一人もいない関西で、自分自身を見つめる時間が増えたんです。愛人契約は別世界の出来事だったと感じてました。コロナ禍は異常な時期だった。そのことにやっと気づいたんです。
新たな人生設計を考えているうちに、結婚したくなって婚活も開始しています。
でも愛がどういうものなのかを知らない私は、全く自信がないですが、ダメンズに注意しながら、将来を語り合って寄り添え男性を探しています
コロナ禍で愛人になった女性のその後からわかる女性の幸せとは?
コロナ禍でパパ活から愛人になった杏璃さんは、セックスをまるで消費するように男性に肉体を提供していました。恋愛感情はなかったものの、リスペクトがあったため、バリキャリを目指していくきっかけになったのでしょう。
「コロナ禍は異常だった」と杏璃さんが言うように、契約を交わしたころコロナ禍は人との関係が希薄な状況。そんな中でSNSで不特定な異性との出会いから真実の愛を見出そうとしていた人は稀だったはず。
でも人恋しいという思いは、どんな状況になっても変わりませんね。
高額な手当をもらっていた愛人契約のリスクを、終わってから感じている杏璃さん。
愛が何かを知らないといいながら、一生懸命に彼に喜んでもらおうとしていた時に掴んだ情もあったから、続いてきたのでしょう。
刺激的な関係の終焉とともに、一緒にいてほっとできるような関係を築けることができる人が現れるまで、自分と向き合える時間なのだと思います。
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夏目かをる Kaworu Natume
コラムニスト、小説家、ライター
2万人の働く女性を取材、執筆
10万人に一人の難病を後遺症なしに完治
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