私は浮気や不倫はいつか必ずバレると思っています。
というのは、嘘にはほころびが必ずあるからです。二人以上の相手と同時に付き合っているのは、言葉を換えると、二重生活をしていること。巧妙な結婚詐欺師でもないなら、嘘は必ずバレるもの。
配偶者以外の人と愛し合ったことを墓場まで持っていくという覚悟がある場合を除いて、隠すことができなくなるのも、ウソがもたらす宿命と言っていいでしょう。
1 偶然が二度起こった女性の‘‘選択‘~インスタ前夜のケース
かつて私の女友達は、学生時代から付き合っている男性と結婚。結果的には不幸な結婚でした。
結婚を決めた理由は「結婚をしないという選択がなかったから」。
消極的な選択を選んだ夫婦は、ひょっとしたら最初から倦怠期かもしれません。
このような場合は「まあまあ、普通」という状態がピーク。夫婦間に喜怒哀楽の振れ幅が少ないため、大きなすれ違いが生じるといきなり危機が訪れてしまうことも。
女友達もそのパターンでした。外資系の有名な会社に新卒で入社した夫は、妻には夫の出世をサポートする役割を期待したのです。
ところが夫の赴任先の地方都市で、彼女は「夫を支えるだけの人生は嫌。私も個性を発揮したい」と、のろしを上げたのでした。
学生の頃から始めたイラストにますます没頭した彼女は、アルバイトで貯めた資金で個展を開きます。来場者だけでなく、東京の関係者からも注目をされると自信が湧いて、もっと描きたいとやる気も膨らんできたのです。
でも彼女の才能は、夫婦関係を危機に陥れました。夫は彼女のイラストレーターとしての活動を認めなかったのです。そしてついに夫の不倫が発覚。しかも彼女はその現場を目撃したのです。
「その日はどういうわけか、ゴミ出しの前日なのに、夜になってからごみを出しにマンションのゴミ置き場に出向いたの。ゴミを出そうとしたときに、ふとゴミ置き場の柵を超えた向こう側に、車が見えた。それは夫の車で、車の中で夫は助手席の部下の女性とキスをしていた」。
部下の女性は、2か月前に自宅マンションでバーベキューパーティーを開催した時に参加していたというのです。「その頃から付き合っていたのなら、二人で私を騙していた」と彼女は激しく動揺します。
当時を振り返りながら、彼女は私に、こう言いました。
「テレビドラマで偶然が続くと嘘っぽいと言われるけど、でも現実には、偶然から裏切りがわかることがあるの」。
私は大きくうなずきました。なぜならその後にも、凄い偶然が待っていたのですから。
夫とその部下の裏切りに傷ついた彼女は、精神的なバランスを失いかけていたそうです。
経済的に頼っていた夫に問い詰めることもできず、かといって、心情的に不倫を認めたくなかったといいます。しかも相手は家にまで遊びに来た夫の部下の女性。二人にバカにされているという悔しさで、眠れない夜が続いたそうです。
そんな彼女の苦しみを和らげてくれたのは、イラストの仲間でした。彼女よりも少し年下のイラストレーターの男性は彼女を慰め、経済的な自立をするためにもっとイラストのスキルを磨くことを勧めたのです。
「あのころ彼がいなかったら、私は壊れていたかもしれない」と当時を振り返る彼女。
やがて男女関係になった男性と、美術館に出向いた帰りに、とんでもない出来事が起こったのです。
「商業施設もある大通りの横断歩道を男性と一緒に渡ろうとしていた時に、横断歩道の向こうから、夫と夫の不倫相手の部下が仲良く一緒に歩いてきたの。後ろに戻ったら、負けを認めるようなもの。心臓の鼓動が早くなるのを感じながら、私はまっすぐ前を向いて、男性と一緒に堂々と歩いた。手を繋いでね。夫も部下の女性も驚いた顔をしていたけど、私は彼らを眼中にないという気持ちで、歩いたわ」
夫婦の終焉は、横断歩道ですれ違った一瞬に起こった。夫婦のすれ違いの大きな原因が、パートナー以外の存在だったことを知らしめた出来事。まるで神様の采配のような結末だった。
夫の不倫も、彼女の‘避難所‘だった男性との関係も、あからさまになって離婚。
その後元夫は不倫相手の部下と再婚し、彼女は上京してイラストレーターとして仕事を続けている。‘避難所‘だった男性とも別れて。
2 インスタが教えてくれた‘‘彼の新郎姿‘
今や「偶然の連続」にSNSが介入しているとしたら、神の采配はSNSが介入しているといえるのだろうか。
シオリさん(仮名、35歳)はバツイチ。友人たちがどんどん結婚しているのを目の当たりにしているうちに、結婚願望が芽生えて婚活を開始。
すぐに見た目も性格も爽やかな年下の男性と付き合うことになり、互いに真剣交際を誓い合う。
「友達にも彼のことを恋人と紹介して、一緒にご飯を食べたりしていました」
彼の裏切りが発覚したのは、シオリさんの友達の結婚が決まり、その結婚式場をインスタで探していた時だった。結婚式場のハッシュタグに触れると、その会場で結婚式を挙げたカップルたちが幸せそうな表情で映っていた。
「私たちもいつかこんなふうに、皆から祝福されるよね」
そう思いながら、インスタ画像を次々とスクロールしているうちに、一枚の画像にくぎ付けになった。それは彼の新郎姿。新婦の女性と寄り添って笑顔を浮かべている画像が映っていたのだ。
「彼の親族がつい先日にインスタにアップした写真でした。騙されていた、とか、友人にも紹介しているのになぜ?と、頭の中がぐるぐる。怒りで震えが止まらなくなりましたが、ラインで彼を問い詰めれば、ラインをブロックされてそれで終わりになる。直に聞こうと思いました」
ところが彼に写真を見せても、認めようとせず、「自分を信じられないのか」と開き直って、シオリさんをなじる彼。
シオリさんは「わかった。ごねんね」と謝罪して、その日は外で別れた。
ところが、インスタが、またシオリさんに真実を教えたのだ。
「翌日、インスタが『知り合いではありませんか』と、ある女性をお勧めしたんです。それが彼の妻でした」
彼の妻のインスタには、結婚式に招かれた友人たちからの写真が溢れるように掲載されていた。そこには新郎としての彼の幸せそうな姿もあった。シオンさんは涙を流した。
次のデートで、彼に妻のインスタを見せても「人違い」を繰り返す彼。そして理不尽な理由で一方的に別れを告げた。
シオリさんは、弁護士に相談して、今後のことを対処中だ。
3 彼のウソがばれたのは、インスタが原因
カナさん(仮名、30歳)は、結婚を前提に2歳年上の彼と2年前から付き合っていた。
家族や友人にも彼を紹介し、彼との結婚生活を心待ちにしていた。
「ところが、彼は別の女性とも結婚の約束をしていました。それがわかったのは、インスタです」
ある日、カナさんはインスタに『知り合いではないですか』という人のインスタをチェックしたところ、その人と親族が不倫していることがわかった。
親族は後ろ姿だったが、親族が持ち歩いている小物などが映っていた。「間違いない」とカナさんはショックを受ける。
不倫している親族を問い詰めて、親族の不倫相手の連絡先を聴いてコンタクトを取り、親族と別れるように相手に強い言葉で迫ったカナさん。
トラブルになりそうだったので、彼に電話で相談したところ、彼から連絡が途絶えてしまったのだ。
親族の不倫で彼が嫌になってしまったのだろうかと、ますます怒りの矛先を親族の不倫相手にぶつけると、不倫相手は親族を通じて、彼が他の女性と結婚したことを伝えてきた。 一体どうやって調べたかについてはわからなかったが、親族と不倫関係にあった人が、インスタで、彼の結婚式をアップしている投稿を見つけたという。
カナさんの親族は不倫を解消して、相手と別れた。親族が相手と深い関係になるきっかけもインスタだった。カナさんが結婚を前提に付き合っていた男性を、偶然にインスタで見つけて親族に伝えた人が、のちに不倫相手になったのだという。
親族まで巻き込んで発覚した彼の裏切り。あまりにも酷いやり方に、カナさんは彼に慰謝料を請求しようと思っている。
コンピューターがその人の嗜好や情報をもとにはじき出す人間関係の可能性。SNSの世界では、容易に人間と人間の関係を繋げている。
関係の可能性を広げていくだけならいいが、「知らなければよかった」という深刻な事態を招くこともある。
私が打ち明けられた2つのケースは、「知らなければ欺かれたままだった」。だが知ることによって、傷も大きく深まっていく。
コンピューターがはじき出した人間関係の可能性は、決して偶然が招いたことではない。当然ながら神の采配でもない。
傷つきたくないからと言って、SNSの世界から逃げることもできない私たちは、SNSがもたらす現実の残酷さも知っておいた方がいい。SNSは決して親切心であなたに可能性を教えているのではないのだから。


