竹内涼真主演のテレビ朝日系ドラマ「再会〜Silent Truth〜」が昨日の3/17に最終回を迎えた。私は第一回から楽しみにしていた。竹内涼真の演技の成長が楽しみだから。
ところが途中から竹内涼真が演じる警察官に寄り添う女性が気になり始め、やがて過去の自分を振り替えりながら、愛について考察するようになった。
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小学生だった同級生の4人が森で発生した殺人事件に遭遇したことがきっかけで秘密を共有し、23年ぶりに再会する。だが事件が起きた。マドンナのような存在の万季子(井上真央)が殺人犯の疑いをかけられたからだ。
警察官の淳一(竹内涼真)は初恋の相手、万季子を救いたいと奔走するが、彼にも大きな秘密があったーーー
最終回では、全てのことが、まるでパズルを解き明かされるようにパチパチと解明される。
23年前の事件の真犯人が明らかになり、罪の意識にさいなまれていた淳一が無実だとわかって淳一は安堵する。そして刑期を終えた万季子と万季子の子供と三人で人生を再スタートさせる決意をする。
ドラマの途中で存在感がやっと見えてきたのが、3年前から淳一と同棲していた博美(北香那)だ。
看護師だった彼女は、淳一のおかけでストーカー被害から解放される。そして自分から淳一に告白して、淳一の傍で彼を愛し続ける。
過去の罪の意識にさいなまれていた淳一を、そっと気遣いながら、彼に寄り添ってきた博美は、事件が解決した後、淳一が悪夢を見ることなく目覚めて隣にいる自分を抱きしめると、手を握り返し、そして「今後どうしたいの」と尋ねる。
淳一が「万季子を支えたい」と告げると、博美は「好きだからって言えばいいのに」と言う。
この時、いったい博美は何を考えたのだろう。
23年前の事件が起こった故郷に戻ってきた淳一の傍にいた博美は、淳一が万季子を好きだということを知っていたのだろう。好きな女性に打ち明けられず、何かにおびえて悪夢を見ている淳一を博美は「見捨てられない」と思ったのだろう。
それが彼女の愛だ。献身的な愛に、淳一も気づいていたのだろう。心に深い傷を負っている人は、味方になってくれる人を直感的にわかるもの。
博美は「私が好き」という一方的な愛を選んだ。私が好きだから、それでいい。
とても強い愛だと思う。だって「私が好きなのだから、それでいい」というのは、見返り
を求めない、無償の愛なのだから。
「万季子を支えたい」という淳一に、博美は彼から本心を告げられたと思った。
「私が好き」という一方的な愛を選んだ博美は、「分かった。私は別の街に行くね」
と身を引く。
博美の凄いところは、これまでの自分の愛情を淳一に押しつけていないことだ。
愛情が深い自分と比べて、好意を持ってくれているけど自分の愛情より量が少ない相手と一緒に暮らす極意を博美は熟知している。
押し付けない、でしゃばらない、いつも彼に寄り添い、彼の味方になる、そして彼に頼まれたら喜んで引き受ける。
そこにあるのは「都合のいい女」という軽い言葉を超えた、「彼の幸せが、自分の
幸せ」という尊い愛情だ。母親が子供に対する無償の愛に似ている。
私は博美の身を引くシーンで、ある直木賞作家を支えた女性を思い出した。
その女性は彼が受賞するまで養っていた。寝る暇もなく執筆に勤しんでいた彼に「私が働くからあなたは書いてね」と嬉しそうに仕事に出かけていたのだという。家計を支えるために、女性は昼も夜も掛け持ちで働いた。
そして彼の受賞が決まると、消えるようにいなくなったのだという。
自分の役目が終わったらと言わんばかりに、身を引いたのだ。
この女性は、彼に尽くすことが生き甲斐だったのだろう。
ドラマ「再会」の博美もまた、淳一が悪夢から解放されて、愛する女性と生きることを決意した瞬間に、これまで淳一を支えてきた自分の役割が終わったことを悟ったのだろう。
誰よりも、愛する人にとって自分の存在の価値を知っていたのだろう。自分の方が愛しているのだから。
尊い愛を貫けたのは、愛する自分を誇りに思っているからだ。
過去に私は、博美のような愛を選べなかった。私を振り向いてほしい、私を一番に愛して。そんなエゴに近い愛情だったから、私はその愛を逃がしてしまった。遠いはるか彼方へ。
博美の愛を見るにつけて、自分の愛情に対する落ち度を思い知らされている。
では今の私には「彼の幸せが、自分の幸せ」という尊い愛情を持つことができるのだろうか。博美の愛は私には永遠に届かないのだろうか。
愛猫が傍にぴったりと寄り添ってくれる今の私には、愛に関してどんな選択もできるような気がする。猫とは相思相愛だから、愛されているから、どんな愛の選択もできそう。
所詮私は一人で難しい愛を選べないのだ。猫に支えられている私は弱い。でも弱いからこそ愛に関して敏感になり、愛に関するコラムやエッセイを書き続けたくなるのだろう。明日もきっと。


