相思双愛 | ライジング

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ライジング-相思双愛


パンダラコンチャの舞台『相思双愛』観てきました。場所は、山口県の長門市にある"ルネッサながと"。

俳優、近藤芳正さんが立ち上げた新ユニット「パンダラコンチャ」の初ソロ公演で、近藤さん自身、構成、演出も手がけられ、演じるだけでなく作る側でも才能を遺憾なく発揮した素晴らしい作品でした。


今作『相思双愛』は、横光利一作の「春は馬車に乗って」と重松清作の「四十回のまばたき」という2つの話が原作で、"命"という結び目を持ったメビウスの輪のような脚本です。

一方のお話は、病床に伏しベッドから出られない妻は、我がままを言い、悪態をつき、夫を看病で縛ろうとする。一方のお話は、冬になると冬眠してしまう奇病を持った義妹は新しい命を宿すが、その父親は分からずおまけに6人も候補が。

こんなまったく違った2つの話が同時に展開され融合していく。消え行く命、新しい命、双方のドラマは時代も環境も何もかも違うのに絆や縁(えにし)、深い愛情は変わらず色褪せず、目に見えない何かで繋がっているんだと感じさせてくれます。

実は重いテーマ(原作は読んでいないので違うかもしれませんが)のはずなのに、とてもクールにとてもドライに、でもしっかりした骨があって、笑いも随所に散りばめられた、ほんとに素晴らしい作品だなぁと思いました。


キャストは、近藤さん、坂井真紀さん、辺見えみりさん、榎木孝明さんという豪華な顔ぶれ。近藤さんと坂井真紀さんは、ダンダンブエノ『トリデ』以来の2回目ですが、2人の芝居はやっぱり面白い。劇中での夫婦の掛け合いは映画やドラマを凌駕するほどです。辺見えみりさんはこれまであんまりドラマで見ることは無かったんですが、表情豊かで、近藤さん、榎木さんとの絡みもバッチリでした。これから注目ですね。榎木さんはもう大ベテランで、師範の域といったところ。安定感随一でハリのある良い声も健在でした。


生の舞台を観ると”やっぱり生が最高”とビア・ガーデンの一杯目のような強烈なホップの爽快感に似た感覚があります。演者の生の声音、観る側の音、舞台との距離感や空気感、いろんなものが拡散した空間の中にいるまさに一期一会な感覚は甘く危険な媚薬のようです。