久々のレビューは、予告に”みのさん”が出てくるアレです。
アカデミー賞を総ナメにして話題騒然、最高傑作の呼び声高い『スラムドッグ$ミリオネア』。
舞台となるインドのムンバイには、急速な発展を遂げている都市としての顔の裏に、子供も例外なく労働を余儀なくされ、ロクな教育も受けられず、食い扶持(ぶち)として売春や人身売買までも横行し、街中では宗教間の争いや暴動までも発生する疲弊し荒廃したスラムの顔が存在します。
死が日常にありながら、その生と死の狭間のギリギリのところを駆抜けていく子供たちの緊迫感、恐怖感そして疾走感、この作品はワンダーの連続です。
ミリオネアで億万長者になろうとする青年のファイナルアンサーに隠された過酷な運命はあまりにドラマティックでセンセーションです。
時には、、失望感、絶望感、無力感を感じながら、ほんの小さな光に希望を見出して子供は青年は駆けます。「トレインスポッティング」の疾走感はこの作品でも表現されていて、ジェットコースター・ムービー的な映像は、ドーパミンが止めどなく溢れ出ます。
フィクションでありながら、有り得ないと思いながらも、今現在も、勝者の裏にいるスラムの人たちの暗闇も感じられる広く深く考えさせられる部分も持ち合わせている。とってもダークで目を覆いたくなるような場面もありながら、どこか透明ですごくクリアな部分も見せる。ほんとに不思議な作品です。
そしてこの作品の魅力のひとつには、うまくインド映画がミックス、凝縮されていることも挙げられます。一時期、”マサラムービー”としてインド映画がブームになりましたが、あの長時間で踊り歌いまくるインド映画がちょっと苦手って人も結構いましたよね。あのテイストは含みつつもあのしつこさは無く、あっさりトンコツって感じでうまく融合したまさにミラクルムービーという感じです。
ほんっと、ダニー・ボイル監督やりましたね。というかやっちゃいましたね。
ハリウッドや映画産業自体、不況も手伝って手詰まり感のある中、新興国インドに目を向け、新たなステージに向かっているそんな予感がしました。
この作品は映画の歴史の中でエポックメイキング的な役割を果たすかもしれません。
とにかく全て知らない役者さんですが、主人公ジャマールも兄サリームもラティカもまんまそこのスラムにいる子供であり青年であることの違和感がまったくなく(インドの人が見たら違和感あるのかもしれませんが・・・)、大人はもちろん子供もあんなに自然に作品世界を作りあげているのが本当に素晴らしかった。役者さんたちの貢献も相当なものです。
2008年のアカデミー賞作品は傑作、佳作揃いで、早く「愛を読むひと」、「ザ・レスラー」観たいです。
その前にこの作品、もう1回か2回は観たいなって思ってます(もちろんレイトでね)。
