
マシュ「あふ……ふぁぁ……」
シロー「ん? どしたマシュ、寝不足か?」
マシュ「はいぃ……ネロさんに起こされて、朝早くて……」
シロー「そ、そうか……」

マシュ「でも、この街……この地に英雄がいて、その人が鎮めた竜が眠っていて……なんて、まるでおとぎ話みたいですね」
シロー「まぁ、な。説明したのオレだし……実際、そうなんだけど……」
クリス「ふむ、上手くは言えんが一種の魔力体とでもいうべきか……」

クリス「シローの魔力でそのネロ
元来通常の魔力より密度が高く具現化、物質化を起こしやすい性質を持つ『黒い魔力』と、仮定してこの地に『カザン』が存在していたとすればその地に宿る地質的魔力に刻まれた多くの人々の記憶と記録とが結び付き、それとどうせシローが読みふけりもしていた英雄譚等々からくる『英雄ネロ・クラウディウス』のイメージ、及び件の『赤い大剣』を依り代とすることでその存在を定着、さらにシロー自身と紐付けすることで疑似再現に近い形で現代に顕現、『現界』した、
とでもいうべきか……」

クリス「まぁ形容表現も説明もめんどくさい。そこにいるのは確かなのだからそれ以上説明もいるまいよ。シローから供給される魔力の量や当人の意識により伸び縮みするくらいを覚えておけば問題ないだろう。
臓器がないわけでもないくせにレントゲンにも映らんしわけがわからん」
ネロ「うむっ! 余は余である! それ以上もそれ以下もなくな!」
シロー「結局、原理も理屈もオレ自身も確証がないことだらけなだよなぁ……」
マシュ「でもネロさんはちゃんといますし、お話もしましたし……」

マシュ「えへへ、1000年前の人とお友達になれちゃったなんて、ちょっとすごいですよね」
シロー「ちょっとて……」

シロー「マシュ、お前すげぇな」
マシュ「そ、そうですか? ……えぇと、何が?」
シロー「まぁ、いろいろとだよ」

マシュ「ところで先輩、早朝からいなかったってネロさんが言ってましたけど、どこかに行ってたんですか?」
シロー「あ、ああまぁ……ちょっと朝の散歩にさ」
マシュ「えへへ、いいですねそういうの」