
マシュ「えぇと、次が最後になりますね」
花丸「いろいろまわったけど、ヘンなことは起きなかったずらねぇ」
シロー「まぁ、言っちゃなんだけどウワサは噂だからなぁ」
マシュ「えへへ、一つはアインさんでしたしね。黒い影って言うから、てっきりオバケとかかと思ってました」

シロー「っ、……そうだ……イワシの頭だ……」
マシュ「先輩、どうかしましたか?」
シロー「幽霊の正体見たり枯れ尾花、っていうけど……
逆を言えば、枯れ尾花だと気づかれるまでは、それは確かに『幽霊』になる……いや、『そういうことになる』んだ」

シロー「『鰯の頭も信心から』……噂から始まったとしても、それを『そうなんだ』と思う、『そうだ』と思う、信じる人が増えるにつれて、その話は真実味を増す。
そして、信じる人の思いや考え、共有認識が強まるほど、影も輪郭も色濃いものになっていき……『そこにあるもの』へと裏返る」

シロー「人の意識が、影を実体に変えるんだ……」

花丸「……さ、最後のウワサって、なんずら……?」
マシュ「え、えぇと……『縁切り鋏のコトワリさま』……」
ズ リ ッ

カラララ・・・
マシュ「嫌な人との関わりや嫌いな人がいた時に……強く念じて『もういやだ』と唱えれば、コトワリさまがその人との縁を断ち切ってくれる……ただ、縁を切ってもらったら……コトワリさまと、出会ってしまったら……」
カリッ

カラララ・・・
マシュ「腕か脚、首……体のどこかを、差し出さなければならない…………最後に、縁を切ってもらった人は、もう遠くに逃げてしまった……

だから、コトワリさまは探している……

誰でも、なんでもいい……四肢と首のついた、なにかを……