
ネロ「しっかし、汝はこの世界のことを何も知らんのか?」
シロー「あぁまぁ、なんてーか……文献では読んだことあるけど、少なくとも『今の』この世界については、正直あんま……」
ネロ「ふむ、文献のみとは妙な話。やはり異国の地から来たのかの?
……ふむ……ふふんっ!」

ネロ「なれば余が何でも教えてやろう。英知の泉である余に、何でも聞くがよい!」
シロー「助かるよ。えぇと……それじゃぁ……」

シロー「今の年月って、いつなんだ?」
ネロ「うむぅ、そこまで初歩的ときたか……帝暦78年、つい先日で火鳥ノ月になる」
シロー「帝暦78の、火鳥ノ月……」
ネロ「うむ。暑い日もそう遠くなく終わり、また寒くなる。水源に事があっては、冬備えにも差し障ってしまうのでな」

シロー「冬備え……そういえば、文献には載ってなかったけど……」
ネロ「しっ! ……剣を抜き、構えよ」
が さ っ ・ ・ ・ !

シロー「っ……!」
ネロ「水源にマモノが巣食ってから、およそ二週間程度が経つ。
それから日増しに、マモノが活発になっていると聞いていた」
ご う っ ・ ・ ・

ネロ「それゆえに歩むべき道は最短。かつ、確実に到達し成し遂げねばならぬ。
……その道中に、如何な障害があろうともな」
ぱ し っ

ネロ「ある程度、己が身を護ってはもらうが……」

ネロ「余の傍らを離れるでないぞっ!」

『ネロの魔獣退治』……英雄譚に書き記されてる、ネロ一人の最も壮大な戦いにして……
最後の、戦い……

この旅を終えて、帝都に帰ったネロは……処刑、される。
国への反逆、残虐な暴君の最後として……正確には、処刑されるまえに自害する……
その経緯や子細は、文献には書かれてなかった……

英雄の最後……最後の、自由の時間に……
オレは今、介在してるってのか……?