
クリス「やれる限りはやったが……掛かる前に言ったな、期待は薄いと」
シロー「ってーと、やっぱ……」
クリス「この天才を見くびってもらっては困る。と言いたいが、案の定製造メーカー等々を割り出せるようなものは見受けられんかった」
ヴィダール「となれば、いつも通りというわけか」
クリス「悔しいが……口惜しいことにな」

クリス「それゆえここからは根拠のない、天才科学者としてのカンになってしまうが……
ヴィダール「……どういうことだ?」

クリス「完成を目指しトライアンドエラーを繰り返す中で生まれた亜流の一つ。ここから伸びる枝葉が完成形に到達しうることはないが、これはこれで使える、ということで利用した。といった印象さ」
アイオワ「Hnn?」
クリス「それと……ふむ、」

クリス「使用者を自壊させる機能だが……これは、使用されているギフトが原因とみられる」
シロー「ギフト側、なのか? てか、なんで……」
クリス「前に言ったな、この薬の主成分」

クリス「『馴染み、浸透する異能力』……それを含有しているであろう血液成分が見受けられなかった」
リーファ「、……と、なると……」
クリス「以前のものなら、使用したとて1時間も経たずに効果が切れる。意図的に入れられているであろう記憶障害を除き、後の後遺症が見られたことはなかった」
シロー「…………」

クリス「粗製が故か、それも織り込み済みか、試薬の検体はもう不要というわけか……ただ引っ掛かる点があるとすれば、その運用方法」
アイオワ「これまでとは違う手口……別の目的があってのものに見えるわね」