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シロー「、クリス……」

クリス「つい先ほど、精密検査は完了した。天才の私がいてよかったな、はっはっは!

シロー「……まぁ、な。それで……どうだった?」





クリス「事後経過を見ない事には断言できんが、驚くことに変異も魔力汚染もなく容態は頗る安定。まったくと言っていいほど問題は無し。

 今のところ、あとは目を覚ますのを待つだけ、といったところさ」

シロー「そうか……よかった」





シロー「なぁ、クリス……千歌の事、なんだが……」

クリス「調べられるだけ調べてみたが、特異な魔力、異能力、特異体質諸々全て見受けることはできなかった。

 ごくごく普通の一般人。どこにでもいるフツーのガクセイだよ」





シロー「……二人とも、だよな?」

クリス「無論。友人共々、そもそも狙われるような理由などうら若き乙女ゆえのか弱さくらいしかない。先に述べたがフツーのガクセイさ」

シロー「そこまでなら、莉子の時と同じだけど……」





シロー「なら何で、千歌だけが連れていかれて、曜は解放されたんだ?」

クリス「多少の差異こそあれ、双方に大きな違いは見受けられなかった。そういう理由は連れ去った当の本人共に聞くのが一番だが……

 強いて言うなら、被検体は一人で十分、二人もいれば連れ去る際に手こずるから……といったところか?」





シロー「確かに、それが妥当なとこだと思うけど……なんか、引っ掛かるんだよな」

クリス「……ふむ、確かにな。だが、今の判断材料ではなんとも言いきれんな」