
バンシィ「人工魔力を定着させて、電子データで構築した怪獣を実体化ってゆうか具現化させるって……んなもんありかよ」
クリス「設計支援システム『ヒュドラ』。理論上、机上の空論させ具現化せしめるもの。空想のみなら旧組織時代より存在する「おとぎ話」レベルの代物さ。
ま、これは技術的に再現しただけのデッドコピーだがな」
あかね「そ、そんなにすごいものだったんですかぁ……?」
れい「そんな、壮大なもの……なんで今になってまた、やろうとしたん、ですか?」
クリス「何故だろうなぁ? 己の無力を認め諦め棚上げにしておいた埃被りを、引っ張り出してみたくなっただけさ」

クリス「現代技術と知識を駆使して、理論だけならここまでたどり着くことに成功した。
だが、それでも足りん。何が足りないかはわかっているのに、どうすれば補填できるのかもわからんのだよ……」
バンシィ「で、でもよ、それなら最近やり始めてすぐ完成間近までこぎつけたんだろ? ならもうすぐ到着できるって!」
クリス「……道を往くなら時間をかけようとも早く進もうともできる。だが、崖を超えるにはそれ相応の準備と機材と知恵知識が必要。それがない限りは進めなくなってしまうものなのだよ」
れい「…………」
あかね「はふぅん……」
クリス「…………ふっ」

クリス「はぁーっはっはっは! だからこそその答えを導き出すため、こうしてトライアンドエラーの連続だ!」
れい「く、クリス、さん?」
クリス「崖の前で立ち竦もうとなにもやれんわけではない! 進めぬならばこそ実践し、考え、足掻く! それこそが技術者根性というものなのだよ!」
バンシィ「……ショック、改めてだけどお前の上司すんげぇな」
ショックウェーブ「……毎度ながら、自分は心配です」

あかね「……はふ?」
バンシィ「どーした後輩? どうかしたか?」
あかね「いえぇ……でも、なにか聞こえたようなぁ……」
れい「……なにも、きこえないけど……」
シノン「……嫌な感じ」
・・・・・・・・・・・・・

シロー「あれ……あっ! つばさ先輩!」
つばさ「ん? おや、シロー。こんなところで会うなんて、とんだ偶然……いや、私に会いに来てくれたのか?」
シロー「はいっす、つばさ先輩んこと探してたっす!」
つばさ「ふふ、嬉しいぞ。せっかくだ、少し話しでもしようか」
シロー「はいっす!」

つばさ「そういえば、クリスが近くで実験をしていると聞いたな。順調そうか?」
シロー「いや~、今日は3回やって3回失敗したそうっす」
つばさ「前途多難、というところか」
シロー「つってもオレなにやってんのかよくわかんないんすけどね」
つばさ「ダメだぞシロー。任務に携わるなら、わかるわからないではなく知ろうとしなければな」
シロー「う゛……すんませんっす」

つばさ「……すこし、私の話をしてもいいか?」
シロー「え? そりゃなんてーか、もちろんっす」
つばさ「ふふっ、相変わらずキミは話しやすいな」
シロー「そ、そっすか?」
つばさ「それに私は、キミだから気兼ねなく話せるんだぞ」