少し前ですが
新・海底鬼岩城見てきました。






こちらの旧作といえば大長編シリーズの4作目で、非常に良質な本格SF。旧ドラのオタクを自称する神無月が独断で選ぶドラえもん映画ランキングのベスト3位に位置する傑作です。興行収入は歴代最下位らしいですが……。

ちなみにベスト1位はブリキの迷宮(非の打ち所がない傑作中の傑作)、ベスト2位は雲の王国(ミュージカル天国の誕生が全くミュージカルではない点以外は完成度の高い傑作)です。

ついでにちなみにワースト1位は緑の巨人伝(監督にとっても黒歴史らしい)、ワースト2位は奇跡の島(もう少しテーマを絞れば面白くなったと思う、要素が散らかりすぎて薄っぺらい)、ワースト3位は新・宇宙開拓史(ONE PIECEでやるならあり、一般市民がクソすぎて敵の方がまともに見える、胸糞が悪い)です。

異論は認めます。


ごく一般的な人「あれなんやっけ、地球作るやつ」
旧ドラのオタクを自称する神無月「1995年公開の創世日記ですね」




旧作からの主な変更点】


・バギーちゃんの性格が別物で「心が理解できない」になり「前の持ち主」への言及がある。サイズ変更が可能
・エルの性格が別物でこちらも「心を押し殺して生きてきた」になり、キャラデザも魚人的な要素が加わっている
・海か山か論争でのび太君が山派
・海洋プラスチック問題やレアメタルへの言及がある
・まつたけパーティーがない
・オリジナルキャラクターで元女性兵士のおばあさん「トリライン」さんが登場
・ドラえもんたちは海底人の軍隊と協力して戦う
・ポセイドンが原始コンピュータではなく人工知能
・バギーちゃんのネジが早い段階で出てくる


新作の一言感想としては「丁寧な仕事」。

ストーリーラインは旧作と同じです。というか旧作のプロットが無駄なさすぎて改めて嘆息です。ここで船出して、ここでイカ出して、ここでもう一回イカ出して……ってあまりの洗練具合が本当にすごい。変に変える必要全くありません。

その上で旧作の矛盾点や疑問点を一つずつ丁寧に潰して綺麗にまとめていった、というリメイク作品になっていました。ただ小綺麗になりすぎて物足りないとも言える。



【ここで言う旧作の矛盾点や疑問点の例】

・のび太君が海派
→山派に変更
・こんな頂上が切り取られたような海底の山があるわけないやろ
→くぼみのある形状に変更
・魚の卵を蒔いて生態系を壊すな
→プランクトンを蒔いて近くの魚をおびき寄せる方法に変更
・海底人がつけた名前も「テキオー灯」なわけないやろ
→「アダプ灯」に変更
・プロの軍人が子供に戦闘を丸投げすんなよ
→部隊ごとに作戦を実行する共闘スタイルに変更
・機械に女の子だから油断するとかないやろ
→ポセイドンは女性に関するデータが少ないため知りたいという設定に変更、さらにトリラインさんが昔生捕りにされた事実から根拠を持って女の子なら大丈夫と主張
・機械が人間を生贄にするなよ
→上述の通り女性に関するデータを取るために生捕りにする設定に変更
・水中なので涙は落ちない
→水中と分かる描写に変更
etc


とはいえ旧作の海底鬼岩城はそもそも1983年公開。当時はまだ冷戦真っ只中であり、「国境破りは死刑」が現実に(……いや今もわりと日本のすぐ近くであるんだけども……)あり、核武装した二大勢力が戦争始めたら人類は滅びるよね(……最近の大国はピンポイントでドローン攻撃が主流になりつつあるけども……)という時代を反映した作品。

この雰囲気をそのまま持ってきても今の子にはピンと来ないし、あと今の子にはバミューダトライアングルとかムー大陸とかアトランティスとかそんなウケないし、忠実リメイクってわけにもいかないよなぁ……でも43年ぶりリメイクはいっそノスタルジー大人向け作品にしてくれてもいいけどなぁ……と、タイトル公開された時から思っていました。

※ノスタルジーついでにここでF先生のSF短編「ノスタル爺」をオススメするオタク……否、わりと人を選ぶ内容(私はすごい好きです。メリーバッドエンドってやつです)なのでオススメはしない。



【バギーちゃんの性格】

そしてバギーちゃんの性格についても、旧作の「女の子にだけ優しい下心ミエミエ中古車」は今時ドラえもんで出せないのは最初から予想していたので、「心を理解できない」設定はなるほどそうしましたか……という感じでした。

ここは良し悪しで、旧作のホラー演出「だらしがないものですね」をそのまま使えるどころか妙な説得力が増す一方で、旧作のロマンス演出「オイル漏れです」が使えなくなっていたのが残念です。そもそも「人間の女の子と機械の車の奇妙なロマンス」という要素が減るのが痛い。バギーちゃんの性格は大人しくするにしても、ここはもう少し掘り下げられなかったものか。

しずかちゃん以外にのび太たちとも仲良くなるのもいいけどここがまた中途半端で、最後ポセイドンの元まで駆けつけるのは旧作ではドラえもん一人だったのに対して今回のび太とドラえもん二人に変更。そうなるとバギーちゃんの特攻シーンの前は死にかけののび太にも言及あってもいいと思うんですよね。しかしバギーちゃんは「あいつがしずかさんをいじめたんだね、許さない」(うろ覚え)としずかちゃんにだけ言及して突っ込んでいくので、あれ?じゃあ最後のび太君来なくてもよかったんじゃない?と正直思ったり。

あと旧作ではここは一人また一人と負けていき、最後に唯一たどり着いたドラえもんまで気絶するまさに絶望の瞬間にバギーちゃんが飛び出してくる、そうだ、仲間はまだもう一人いたんだ!という観客の興奮を一気にブチ上げる脚本になっていたのに対して、やはりのび太君と二人にしたことで若干盛り上がりに欠けますね。

ただここもまた良し悪しで、個人的には「心を理解できない」バギーちゃんがのび太君に「正しい正解は違うことがある」と教えてもらい、防御プログラムによる「正解」に打ち勝って最後に「許さない」と言って突っ込んでいく脚本の流れはそれはそれで良いかと思いました。

それとサイズが変えられる設定になったのでのび太の頭に乗れるミニサイズの登場シーンが多いのですがこのサイズ感がめちゃくちゃ可愛い。抱っこしたい。ぬいぐるみにして欲しい。ドア開けたところにちんまりいるのが可愛すぎる。



【エルの性格】

エルの性格については、旧作では結構気さくでジャイアンとスネ夫を助ける場面もとりあえずテキオー灯かけとこ的な軽いノリで、あと女の子にお願いされて折れる、全く男って奴は…という場面もあり、ドラえもんたちにも「良いやつ」と認識されていた感じですが、今回はこちらも「心を理解できない」というか「心を持って生きていける環境ではなかったので感情を押し殺して生きてきた、今初めての感情に戸惑っている」というような設定に変更。

旧作と違ってクールであまり語らないキャラとなっています。20歳にならないくらいかな。ゲストキャラクターの仲間の中では大人ですよね。多分竜の騎士のバンホーさんの方が歳上だと思いますが……。

助けられた後の「僕があまりにも……!」にはグッときました。あと髪の毛がめんだこみたいで可愛い。幼少期にこれ見たとしたら性癖がこっち寄りだったかもしれない。

まあ残念ながら私は当時幼稚園卒業タイミングでリアタイしたワンニャン時空伝のニャーゴでわりと性癖狂ってるんですけど。忠誠心大好きオタクの原点これか!と納得。目つき悪い、可愛い。八重歯可愛い。性格悪い、可愛い。ドクズ、可愛い。能力高いのに弱い、可愛い。良!地味に自力脱出しててえらい!まあまあの戦犯なのに強制労働で済んでえらい!ただし別にケモ耳が好きにはなっていない。
あとアニマル惑星の総長も幼少期に見なくてよかったな〜あれも危ない。大人になってから見てマスクを外す場面で衝撃を受けてうっかり禁断の森に頭から突っ込むところだった。あれは性癖が終わる。なんかやたらけしからん色気があるし。


脱線しました。


まあそんな心を押し殺してきたエルがそうやってポセイドンを刺激しないようにと逃げ続けてきたムー連邦の国民性を恥じ、戦おうと決意し旧作と違いドラえもん軍と連邦軍が共闘する流れは良かったです。心が云々と主張するのがちょっとしつこい感じで逆に薄っぺらく感じましたが。

しかしちゃんと共闘するのが私の中では高評価。悪い例は冒頭でワースト3位と言いました新・宇宙開拓史。あれに出てくるのは自分たちではろくに対処しようともせず外からやってきたドラえもんたちに面倒ごとを丸投げ、頼り切り、いざドラえもんたちがいない時にトラブルが起きるとドラえもんたちがいなかったからだと他責、最後まで一切の助太刀もしない一般市民の大人たち。あれは腹立つを通り越してあまりの胸糞悪さにもはや苦痛を感じました。ONE PIECEならアリですけど(人間の醜さの描き方が秀逸で胸糞悪いのがONE PIECEの通常運転なので)、ドラえもんであれはナイ。10歳の女の子の「お父さんを助けて」は大人全員で無視したくせに…!?と何回思ったことか。まだモリーナに救いがあったから良かったけど、一般市民よりギラーミンの方がよっぽど筋通ってるしプロ意識高いしマナーも良いというなんだこれミステリー。



すぐ脱線します。俺の中の旧作厨と和解せよ。



【総括】

基本的にリメイク作品は旧作が良すぎて旧作を超えるのは不可能に近いので、旧作を知らない人が見たとしたらで評価すると新・海底鬼岩城は良作に入るでしょう。ただ、旧作厨にはウケないでしょう。評価が分かれそうです。というか私の中でも改変に関して評価する部分と評価できない部分があるわけです、上述の通りです。

リメイク作品で一番良質だったのは新・日本誕生だと思います。あれは唯一旧作を超えるレベルだと評価しています。

比較的評価の高い新・魔界大冒険や新・鉄人兵団は改変部分がいかにもお涙頂戴で個人的にはイマイチです。魔界大冒険の方は改めて見直すとまあまだわりといいかな。子供の頃に見た美夜子さんは大人なお姉さんに感じたけど、今見ると(子供いないけどもうこの歳になると親目線で見てしまう)大人にならざるを得なかった普通の女の子(中学生くらいですかね)で、旧作と違って弱い部分を結構見せる所が良いですね。ただやはりお涙要素がやりすぎだと思います。

鉄人兵団の方はピッポのおかげでミクロスが抹殺されたことへの怒りという主にただの私情で評価低いです。ピッポがこの名前大好きだよとか言いながら消えていく場面はもはやハア????お前ジュドだろが?????って半ギレです。リルルの方は泣きますが。あと歌の要素などを入れたおかげで胸糞悪さが増してこれまたなんかONE PIECE的に感じました。胸糞悪いの例でONE PIECEを出すのをそろそろやめろって?いやいや人間の悪意の描き方が天才なんですよONE PIECE。



ほんとすぐ脱線します。俺の中の旧作厨と以下略。



時代だなという感じですが、女性兵士が出てきます。ちなみに新・日本誕生ではタイムパトロールの女性隊員も出てきます。
国の偉い海底人たちの中にもアンコウの女性がいます。肩に小さいのがくっついたので子連れ出勤ってこと…?と思っていたら、妹にあれアンコウだから融合した旦那だよって言われてそういえばそんな説明出てきたわってなりました。いやいやキャラ造形でそこまでやる???

あとドラえもんの面白いところは、サザエさんと違って現実世界と一緒に時間が進むところです。奇跡の島もスカイツリーが登場するあたりは小ネタとして面白い。今回はジャイアンが「ありよりのありだな!」と言ったりスネ夫が「レア度高い」と言ったりなんだかインターネット世代になっています。



うーん、トータルで評価すると10点満点中6点くらいかな。




【歴代映画個人的評価点一覧】

1のび太の恐竜 8点
2宇宙開拓史 7点
3大魔境 7点
4海底鬼岩城 10点
5魔界大冒険 7点
6宇宙小戦争 9点
7鉄人兵団 8点
8竜の騎士 7点
9パラレル西遊記 6点

10日本誕生 8点
11アニマル惑星 7点
12ドラビアンナイト 5点
13雲の王国 10点
14ブリキの迷宮 10点
15夢幻三剣士 7点
16創世日記 7点
17銀河超特急 8点
18ねじ巻き都市冒険記 9点
19南海大冒険 5点

20宇宙漂流記 4点
21太陽王伝説 9点
22翼の勇者たち 7点
23ロボット王国 6点
24ふしぎ風使い 7点
25ワンニャン時空伝 9点
26のび太の恐竜2006 7点
27新・魔界大冒険 6点
28緑の巨人伝 1点
29新・宇宙開拓史 2点

30人魚大海戦 6点
31新・鉄人兵団 4点
32奇跡の島 2点
33ひみつ道具博物館 8点
34新・大魔境 7点
35宇宙英雄記 5点
36新・日本誕生 9点
37南極カチコチ大冒険 8点
38宝島 6点
39月面探査記 未視聴

40新恐竜 未視聴
41宇宙小戦争2021 7点
42空の理想郷 未視聴
43地球交響曲 未視聴
44絵世界物語 未視聴
45新・海底鬼岩城 6点



今はアマプラ見放題にないから残念。



【ドラえもんとは特に関係のない余談】

最近アマプラから古いコナン映画をおすすめされるんですが、キッドと思いきや怪盗クイーンの優雅な休暇が紛れ込んでいたので草とか思いながら見ました。昨年舞台挨拶付きの上映会がまさかの最前で当たったのでそれで1回見ていますが、まあそのなんですか、わたし緋仔推しなので、制作発表後のニュース更新のたびに「おれの推し?原作で一言も喋らない上にそもそも故人なのでCV発表とか何もありませんが?」「おれの推し?故人なので本編にはほぼ出てきませんが?スクリーンの中で動いていいんですか?」とかなんとかジョーカー推しの平成女児たちに紛れてぶつぶつ言ってました。推してる自分が哀れになる(なるな)推しランキング3位・緋仔。



↑これがその舞台挨拶の時のやつ。


推してる自分が哀れになる(なるな)ランキング3位って適当に言っているわけではなく、1位はワンピのモネさん、2位はそらあかのウルヒが堂々と位置しているのでまあそのなんですか、この前の天は赤い河のほとりアニメ化発表の時も「カイル派はもとよりラムセス派とかザナンザ派とか、あとルサファ派とか!の方々は人権があってうらやましい!おれ?そもそも推しに人権がありませんが?」とかぶつぶつ言っています。天は赤い河のほとりあるある、推しに人権がない。とか笑い話的に言ってますけどここには書けないくらい酷い目に遭っているのでいやほんとなんで少女漫画であんな展開にできるんですかね?公式であそこまで酷いことされるのは耐えがたい。と言いつつ推しに変わりはない。哀しい。モネさんはお察しの通りです。未だに引きずるオタク。



以上。