四月から五月にかけてなんとなく口ずさみたくなる歌があります。


文部省唱歌 「春の小川」



一、

春の小川は、さらさら行くよ。

岸のすみれや、れんげの花に、

すがたやさしく、色うつくしく

咲けよ咲けよと、ささやきながら。

二、

春の小川は、さらさら行くよ。

えびやめだかや、小ぶなのむれに、

今日も一日ひなたでおよぎ、

遊べ遊べと、ささやきながら。


「春の小川」」は旋律がやさしく親しみやすいため


ご存知の方が多いのではないでしょうか。


意外とワンコーラスくらいは覚えているものです。


文部省唱歌は地味ですが名曲ぞろいですね




実は「春の小川」歌詞は三種類あり、


上の詞は1947年掲載のもの。


元々は1912年、文語調歌詞が尋常小学校唱歌に載ったのが始まりです。



一、

春の小川はさらさら流る。

岸のすみれやれんげの花に、

にほひめでたく、色うつくしく

咲けよ咲けよと、ささやく如く。

二、

春の小川はさらさら流る。

蝦やめだかや小鮒の群に、

今日も一日ひなたに出でて

遊べ遊べと、ささやく如く。

三、

春の小川はさらさら流る。

歌の上手よ、いとしき子ども、

聲をそろへて小川の歌を

うたへうたへと、ささやく如く。

その後1942年林柳波が口語体に書き直し、47年に再度作り直されました。


下の歌詞は42年に変更されたものです。



一、

春の小川は、さらさら行くよ。

岸のすみれや、れんげの花に、

すがたやさしく、色うつくしく

咲いてゐるねと、ささやきながら。

二、

春の小川は、さらさら行くよ。

えびやめだかや、小ぶなのむれに、

今日も一日ひなたでおよぎ、

遊べ遊べと、ささやきながら

つまり、覚えている歌詞で


その人の大体の世代と出身地がばれてしまうという(滝汗)




「春の小川」 一説によると


作詞が高野辰之、作曲が岡野貞一という方だそうです。


高野の平易な、しかし美しい詩にクリスチャンの岡野が節をつけた、と。



高野岡野コンビの作品はほかにも


「春が来た」「朧月夜」「ふるさと」「もみじ」「桃太郎」 などが


そうではないかと考えられています。



しかし



文部省唱歌は当時合議制で作成されたとされるうえ


作者が厳格に秘せられたため


現在においても作者が特定できない憂き目にあっています。


楽譜の自筆原稿もまだ見つかっていません。



それでも文部省唱歌のいくつかの曲は


たとえ学校で習わなくなっても


ずっと人々の記憶に残っていくのではないかと思います。



【引用文献】


「春の小川」 :ウィキペディア

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%A5%E3%81%AE%E5%B0%8F%E5%B7%9D


「尋常小学校唱歌」:ウィキペディア

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8B%E5%B8%B8%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E5%94%B1%E6%AD%8C


「岡野貞一」:鳥取文化観光局「ふるさとの音楽家岡野貞一」

http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=89649