それからのふたりは、ほとんど毎晩、電話で話した。
そして、少しでも時間を見つけて、逢おうとした。
一ヶ月か、二ヶ月かに一度、僕が京都に行ったり、彼女が東京に来てくれたり。
月曜日の始発の新幹線で京都を出て、そのまま会社へ行ったり、そんなことは、全然苦にならなかった。
そんな時間が永遠に続くわけがないことを、本当はふたりとも知っていたけれど、それを口にすることは、決してなかった。いや、もしかしたら、このままずっと、こんな時間が続いてくれるのではないかと、信じようと必死だったのかも知れない。
もちろん、ことある毎に、危ういふたりの関係は、バランスを崩しそうになる。
それはまさに、悲しい綱渡りのようなものだった。
止まらない気持ちは、あらゆることを忘れて、ふたりで生きていくことを、夢見せたりしていた。
でも、現実は、そうはいかない。
彼女は自分の子どもへの責任を、そして、僕は、僕の仕事を。
それを全うしない自分は、自分ではないと感じるふたりだから、夢は、どこまでも、夢だった。
運命を呪えば、それは全て、自分に還ってくる。
そうして、忘れられない時間は、いつのまにか過ぎていく。
横浜で過ごした三日間、伊豆・蓮台寺温泉で過ごした二日間・・・思い出を少しずつ増やしていくふたりは、不安を打ち消すように手を繋ぐ。
誰よりも好きだと、確認しながら、抱き合って眠る。
楽しい想い出を、積み重ねていきながら、いつか壊れるはずのふたりは、目を閉じて・・・。
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Good Night,Good Night.
どんどん好きになっていく、幸せな瞬間。そして、それと同じだけの苦しみを、あなたは抱えた。
過ごした時間のひとつひとつを、僕は一生忘れない。
初めてあなたを抱いた夜、そう、あの時、ふたりは止まれなくなることがわかっていたはずなのに。
時限爆弾のスイッチを、ふたりは一緒に押したんだよ。
時計は回る・・・。