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昔、夏は好きではなかった。
夏の眩暈(げんうん=めまい)を憎む、なんて言葉をノートに書いたこともあった。
とにかく好きだったのが冬。そして秋。

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ところが、30歳を超えたあたりからだろうか、年々夏が好きになっている。
年々、冬が苦手になってきている。
いま?
いまは、夏、春、秋、冬の順かな?
雰囲気としては、夏、夏、夏、春、春、、、秋、、、、、、冬。
という感じ。
昔は、冬、冬、冬、冬、冬、秋、秋、秋、、、春、、、、、、、、、夏。
という感じだったのに…

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西脇順三郎の詩に、「太陽」という作品がある。


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「太陽」

カルモヂインの田舎は大理石の産地で
其処で私は夏をすごしたことがあつた。
ヒバリもいないし、蛇も出ない。
ただ青いスモモの藪から太陽が出て
またスモモの藪へ沈む。
少年は小川でデルフィンを捉へて笑つた。

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夏らしいでしょ?

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季節に対するこの変化は、たんに、年をとって寒さが苦手になったってことだけ?
あんなに好きだった冬はいったいどこに行っちゃったんだ?

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なんか、歌であったよね?
はーるをアイするひとはー、コーコロ清き人ぉー♪
夏と冬はなんだっけ?
思い出せない。
まあ、いいや…

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夏と冬。
春と秋。
満月と三日月。
上弦の月と下弦の月。

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ヒトの好みはさまざま。
ひとりのヒトのなかでも、好みはうつろう。

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しかたないね…