φ
ある日のこと。
あるイタリアンの店でのこと。
φ
僕は、ワインが、あまり得意ではない。
たんに、食わず/飲まず嫌いなのかもしれないが。
とにかく、僕は、自分がワインが得意ではないと思っている。
φ
その日、金もなかった。ワインも飲みたくなかった。
グラッパを二、三杯くらいのんだかな?
店の人に言ってみた。
めちゃくちゃ安くて、めちゃくちゃマズーイ酒ってない?
あるいは、こうだったかもしれない。
めちゃめちゃ安くて、めちゃめちゃマズーイ酒ってない?
φ
店の人が、ワインセラーだか、ストック場だかに入って行って、けっこうな時間ごそごそしだした。
そして、出してくれた二種類の酒。まずは、上の写真のコレ。
コレは、調理に使っているブランデーらしいが、口のなかでの広がりゼロ。なんの味も香りもしない。
無味無臭、無味乾燥、味も素っ気もないとはこのことか?
気にいった!
ゲラゲラ笑ってぐいぐい飲んだ。
ぐいぐい飲んでゲラゲラ笑った。
φ
知り合いの、僕よりちょっと年上の先輩がいたのだが、僕があまりに楽しそうなので、俺も飲んでみようかなぁということになり、飲んだわけ。
たしかに、こりゃマズイ、といって、ニコニコするわけ。
すると、店のオーナーまでグラスをもってくるわけ。そして、飲むわけ。そして、やっぱりニコニコになるわけ。それを見て店の男の子もニコニコして飲むわけ。
すると、そこにいた女のお客さんも参加しちゃったわけ。
そして、やっぱり、ニコニコ。
φ
その女のお客さんは、僕の知り合いの人に、このお酒の味みたいな女の人っていました?なんて聞くわけ。
すると、僕の知り合いの人は真剣に思い浮かべている。
どうやら、思い浮かんだらしい。
そこで、みんなゲラゲラ笑うわけ。
φ
次の酒は、クサヤみたいなもんじゃないの~?
って僕が店の男の子に聞いてみたわけ。
φ
で、飲んだわけ。
クサヤじゃん!
てことで、またまた盛り上がったわけ。
楽しい酒だったなぁ。
記憶?
φ
うん、飛んだ。
φ
でもいいよね。
そのときの記憶が残っているから。
φ
あー、まずかった。
楽しかった。

