今日はかってそれがために大学の研究室に帰った、心筋症について。ただしこの10年に、病気あるいは病態がコロッと変わっていたら、ご容赦を。
まず心筋炎ですかね。最近ワクチンの副作用で少し有名になりました。昔から、少なからずありました。ある種のコクサッキーウイルスや肝炎ウイルスや妊娠で惹起されます。他の理由で心筋生検で見つかります。大抵気付かないうちに自然緩解します。万一でも、ある抗ウイルス薬やβー拮抗薬でコントロール出来ました。DCMライクになるのは、極めて稀でしたね。
次に肥大型心筋症。確かにエンドステージはDCMライクですが、そこに至るのはごく稀です。当然HFrEFに至る症例は少ない。多くはあってもHFpEFです。
しかしこのHFpEFも治療は難しく、昨年だか上梓された、新しいバルサルタンが、再入院のリスクを、若干下げたという報告があります。この分野は日進月歩の世界です、必ずや良い薬が出て来るでしょう。
最後に拡張型心筋症。根本的な治療は心臓移植しかありません。漸増して悪くなるHFrEFで入退院を繰り返したりして、やがて亡なります。ですので治療の主眼は心不全です。数多くの薬が試されています。この分野では私が倒れてから、標準治療が策定され、最近も新しく1~3の新薬が加わりました。その中には画期的なものもあります。実臨床での効果も期待して良いでしょう。
余談。心筋症には多くAfが合併します。しかしそれがために生命予後が変わりはしません。従来の不整脈治療で良いでしょう。