肺MAC症 | 脳卒中(脳幹出血)医師 moonkikicocoのブログ

脳卒中(脳幹出血)医師 moonkikicocoのブログ

約72歳。12年ほど前に脳幹出血で倒れました。合併症はたくさんありますが、何とか生きています。つまらないと思うかもしれませんが、愚痴っぽいブログですが、よろしく。

 家内がかかっている病気です。非結核性抗酸菌感染症とも言います。結核菌とライ菌を除いた抗酸菌症です。抗酸菌とは細菌を顕微鏡で見るとき、いろんな染色法がありますが、最後に酸で脱色することが多いのですが、脱色できずに最後まで染料が残る菌を言います。酸に強いという意味ではありません。

 中高年の女性に多く次第に増加しています。問診と喀痰培養と症状とレントゲンで直ぐに診断できます。私も外来で何人か診ていました。

 原因菌はどこにでもいる常在菌(有り触れた菌)です。多いのは高気密住宅 風呂場のぬめり 庭(土いじり)などです。なぜに女性だけかは解りません。また人から人に移ることもありません。

 。10年単位で症状が進みます。初期に発熱やだるさを訴える人もいます。多くの人が体重減少を言います。次第に咳が増え、喀血したりします。鎮咳薬や気管支動脈の塞栓術をしても年間約1000人ほどが亡くなります

 

 現役のころは治療のガイドラインもありませんでした。現在治療の原則は、抗結核薬(クラリスロマイシン エタンブトール リファンピシン)の長期使用です(副作用に気をつけねばなりませんが クラリスロマイシンが重要です)。最近新しい抗生物質が保険で認められ(欧米で使われていた2剤)、昔クリティカルな場面でよく使われていたアミカシン(ストレプトマイシン類似のアミノグリコシド)の噴霧薬がでました。今後ますます研究が進むでしょう。