こんばんは星空

 

私は自分の子を持つまで子供が苦手でした

それでもなんとか二人の子供を育てていたら

子供が好きになって

子供の作り出す作品がわが子だけでなく大好きになりました。

 

今までに3回ご紹介した「一年一組 せんせい あのね」

 

 

 

 

 

 

今回は「作文」か「詩」かよくわからないけれど

長文の作品をご紹介します。 

 

かじ   よしはら きよみ

 

わたしはぐっすりねてしもとった

 

おねえちゃんもおとうさんもよこでねている

 

おかあさんが どたどたとはいってきて

 

「きよみ おとうちゃん おねえちゃん

 

はよおきよ かじやで」

 

おおきなこえで どなった

 

わたしは ぱっと目をあけると

 

おへやがまっかになっとった

 

けむりがいっぱいはいってきた

 

へんなにおい

 

バリッバリッバリッとおとがしている

 

おとうさんが大きなこえでわめいとった

 

おかあさんもきちがえみたいになって(原文まま)

 

なにかいうとった

 

なにいうとるかわからへん

 

おとうさんはわたしをおんぶして

 

かいだんをおりてくれた

 

おかあさんはおねえちゃんをおんぶして

 

おりていった

 

せっかく したへおりたのに

 

おねえちゃん

 

またひとりで上にいきようねん

 

ゆめみとんかしらんけど

 

おとうさん あわてておねえちゃんをつれにいった

 

わたしらねまきのまま はだしのまま

 

そやけどランドセルだけ手にもっとった

 

おかあさん 「あんたらここでいいよ」いうて

 

かじのなかにはいっていった

 

もえてるへやのなかにはいっていった

 

わたしのふくやらにもつを

 

かかえてでてきた

 

つぎに「またいってくる」いうて

 

いこうとしたら

 

しょうぼうのおっちゃんが

 

おかあさんをとめた

 

わたしは

 

からだがふるえてふるえてとまれへん

 

ドキドキして

 

からだまでがかじがいってるみたい

 

じぶんのいえがもえてるとはおもわれへん

 

山みたいなろうそくがもえている

 

やねのうえがぼそぼそおちている

 

ひのこがゆきみたいにあがっていきよう

 

じっとみとったらなみだがでてくるねん

 

なんにもきてへんから

 

さむうてふるえてるのに

 

かおはものすごくあつい

 

わたしのつくえがもえている

 

あのねちょうももえてる

 

わたしのふくもたからものも

 

みんなもえてる

 

なみだがいっぱいでてきてとまらへん

 

しょうぼうの人がいっぱいきて

 

ホースでみずをかけてくれた

 

ものすごいはくりょくやったけど

 

だんだんひがきえていった

 

 

 

みんなこうかいどうで

 

とめてもらうことになった

 

ひはきえたけど なかにはいったらあかん

 

こうかいどうのニかいにあがって

 

すわっても

 

かじのことばっかりおもいだす

 

となりからひがもえてきたんや

 

うちはひのようじんをちゃんとして

 

ねとっただけやのに

 

となりのいえのひと

 

かじになってへんとき

 

けんかしとったみたい

 

はじめのほうは

 

ノックするおとがきこえとった

 

つぎにガチャンと

 

ガラスのわれるおとがしとったけど

 

なにがあったんやろな

 

 

 

おとうさんとおかあさんが

 

はなしているからねられへん

 

「これから どないしたらええんや

 

いえもおかねももえてしもた」

 

「どこでねるんや

 

もうすぐおしょうがつやいうのに」

 

おとうさんもおかあさんもないてる

 

わたしもなけてなけてしょうがない

 

おとうさんがわたしに

 

「また おとうさん

 

がんばってはたらくからなかんとき」

 

いうてるくせに じぶんもないとう

 

おとうさんのだいくどうぐも

 

おかあさんのないしょくのどうぐも

 

もえてしもうたのに

 

「いなかへかえるか

 

いなかのがっこうへいくか」

 

おかあさんはいうたけど

 

わたしはいや

 

ランドセルをまくらのところにおいて

 

ねようとおもったけど

 

ねられへん

 

ほんまにわたしらどうなるんや

 

これからどないしたらええんやろう

 

 

きよみちゃんは

この火事の一カ月ほど前に山火事をみていました。

 

山かじ   よしはら きよみ

 

山かじをはじめてみた

 

さいしょにみたときは

 

へという字のかたちになってもえとった

 

二かいめにみたときは

 

でんきが一れつにならんでいるみたい

 

三かいめは

 

ありがばらばらいうかんじやった

 

わたしは五じごろから八じごろまでみていました

 

ことりや虫たちがしんでいることでしょう

 

わたしらは山かじはきれいやなあ

 

というてみているけど

 

山のちかくにすんでいる人やったら

 

こわいやろな

 

じぶんのいえのかじやったら

 

どうなるんやろ

 

こわいやろな

 

きれいやなんていうとられへんで

 

ふくやらかばんやらおもちゃやら

 

みんなもちださなあかん

 

かじのなかにいたらあついやろな

 

こわいこわい

 

かじなんかせんようにきをつけよう

 

 

この体験をしたきよみちゃんだからこそ

自宅が火事になった時のことを詳細にかけたんだろうと思いました。

こどもの心は強いなぁと思いました。