子どもつぶすにゃ刃物はいらぬ ため息3つもつけばいい

今のお子さんの状況を、よく見てください。「お母さん、違うよ。私はこうだから」と逆らってくるならば、その子の自我は活動しているのだと解釈できます。それを一番近くにいるお母さんが、いつも注意深く見てやることが大切です。


お母さんたちはよく、「本当にうちの子ったら口ごたえばっかりして」と言いますが、子どもが口ごたえをしなくなったら危ないのです。そういう子は、やがて無表情、無感動になるのです。そうなってしまった子に、夢や希望を持てといくら言っても無理な注文です。自分の意見さえ言わない子に、頑張れるはずがないからです。

どうして子どもは、このように「自我を喪失」し抵抗しなくなるのでしょうか。すでに登場しているロロ・メイ先生は、このことに関しても実に卓見を示してくれています。
「現代人にとってもっとも支配的な価値は、他から愛されること、受け入れられること、そして認められることである。それを失うと人間は孤立し、脅威を覚える」


子どもは親に愛されること、認められることを望んでいると、最初に述べました。それをロロ・メイ先生は、特に現代人の特徴であるとしたのです。


つまり、現代的な子どもであればあるほど、そのもっとも根本的な価値は、親に愛されたい、他者に認められたいという欲求であるということです。
こういう子どもは、他人の心の動きに敏感です。お母さんが、「私はこんなことを言った覚えはない」とか「そんな顔の表情をしたことがない」とか言っても、子どもは非常によく覚えています。


「大工殺すにゃ刃物はいらぬ。雨の3日も降ればいい」と言いますが、それをもじって「子どもつぶすにゃ刃物はいらぬ ため息3つもつけばいい」と私はいつも言っています。お母さんの嘆きのため息ほど、子どもにとって堪えるものはないのです。


今の時代に生きている子どもほど、この支配的な価値を持っていて、そしてそういう子どもは他から愛されること、受け入れられること、認められることを、深く深く望んでいるのです。ことによったら命を捨ててでも認められたい、と思う子もいるほどです。

命を引き換えにしても、お母さんから認められたいと望む子もいます

「自然に勉強する気になる子の育て方」P80~82より


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私がお話を聞いている方(親御さん)も、事態の長期化に精神的にも疲れているように思います。

私も親のはしくれとして、到底同じ思いはできませんが、かなりの【精神的】疲労があるだろうと想像できます。

私は、公共、NPOの助けも視野に入れてと話しました。長引かせたくない、親子にとって苦しく不毛な時期をできるだけ早く脱出できればと願っています。