個人的な人に宛てた応援メッセージです
今は大越先生の言葉を少しずつ書いていきます

「学校に行けない」恐怖ではなく、「母親に捨てられる」恐怖

「反対に、その自意識こそが、不安そのものを消し去る力を持っている」
この一文は、ロロ・メイ先生が、不安のスパイラルを言い現している言葉です。
不安と言うものは、自我を破壊する、しかし、そうやって破壊される危機にある自我意識こそが、
不安を消し去る力を持っているということです。

つまり、自意識自体が不安を成敗する力を持っていたのに、その自意識が破壊されてしまい、不安が拡大するという悪循環なのです。まさにウイルスのようです。


したがって、不安そのものを除去しないと元気には成りません。一般的には、元気になれば不安がなくなると思いがちですが、そうではなくて、先に不安を取り除かなくては元気になれないという事なのです。


これを風邪にたとえるならば、元気に成ろうとする自分と、そうはさせまいとするウイルスが闘って、熱が出るということなのです。自分とウイルスの闘いの摩擦から発生するのが熱なのです。


不安も、まったく同じ原理で生じると言えます。つまり、頑張ろうとする自我と、自分が大切にしている価値緒が打ち破られようとする危険がぶつかり合って生じる摩擦熱が不安なのです。

したがって、不安を感じるというのは、自我が危険と闘っている証拠であり、すなわち、まだ元気が残っているという、何よりの証なのです。


中一の初めに学校に行けなくなり、その後三年間、血尿などの体調不良で苦しんだ女の子が、ある時、ふとこんなことを口にしました。
「私が怯えたのは、学校に行けないことよりも、母親に捨てられるのではないかという恐怖です。本当に毎日、怯えていました。」


今は、笑顔を取り戻していますが、その頃は本気で「母親に捨てられる」と思いこんでいたようです。そのお母さんは愛情たっぷりの人で「子を捨てる」ような冷たい人ではありませんが、彼女は、学校に行けなくなり、親の意に反したので、「もう愛してもらえない」と勝手に思い込んでしまったのでしょう。


この思いが恐怖を生み、その恐怖が不安の元となり、そしてその不安が彼女の自我をむしばんでいたのです。


元気になっても不安はなくなりません。
不安を取り除いたら、元気になるのです。

「自然に勉強する気になる子の育て方」P78~79より