卒業後、親しいグループで夏に旅行に行くのが恒例だった。グループといっても中心は上級生で、学生時代には顔と名前くらいしか知らない人が多かったのだが、クラブの先輩だったBに誘われて以来、みんなと仲良くなった。だんなと出会ったのもBを通してだった。それぞれが高校の同級生だとか職場の新しい友人だとかを連れてきて、緩やかにメンバーが新陳代謝しながら今も続いている。
Fはそちらのグループとはつながりがなかったが、誘ったら意外にも来ると言った。たぶんFは、その旅行ではじめて、私がだんな以外にも好きなオトコがいると知ったのだと思う。
私は入学当初からBのことが好きだった。Bは私の気持ちは知っていたが、それに応える代わりに、部活のボスと部下としての、特別な信頼関係を築いてくれた。Bへの恋愛感情は最初からずっと、諦める恋だったが、2人の関係はそれなりに幸福なものだった。それでも1年目、2年目は、私はクラブの飲み会があると潰れて記憶がなくなるまで飲んだ。部長だったBが、そのたびに家まで送ってくれた。無様なところをたくさん見せた。酔いつぶれているのだから、文字通りキレイなもんじゃない。でもBは一言も私を叱らずに面倒を見てくれた。卒業後、その頃の話題が出た時、Bに言われた。
「俺がいる時だけ荒れたもんな~、ユウは。覚えてないだろうけど、いろいろあったよ。ちょっとした田舎だったらお嫁に行けなくなっちゃうようなことも」
その内容は……怖くて聞けなかった。せっかく忘れてるんだから。
当時、同級生の友人たちは、Bが誰それと付き合っているとか、それとは別に年上のステディな人がいるとか、いろいろと親切に教えてくれた。感情がざわつくことはあっても、Bへの特別な信頼が揺らぐことはなかった。入学して2年目には、私の方にも彼氏ができた。
Bと肉体関係ができるのは、私の卒業後だ。Fを旅行に誘った当時、Bとは一度だけ寝た後だったかもしれない。でも基本的には、キスと、もう少し先までの関係だった。
Bは、もともとスキンシップがオープンでオーバーな方なので、女の子たちとの距離感が近い。彼女でもない女の子でも、肩を抱いたり膝に乗せたりというのが、わりと平気で出来てしまう人なのだ。旅行中、だんながいないところでは平気で私の肩を抱くBを見て、Fは何か感想を述べていた。自然にああいうことができて、エッチな感じじゃないし、スゴいなぁとか、いいなぁとか、そんな感想だったと思う。
Bの方は、Fっておまえのこと好きなの?と聞いてきた。さぁ、そうなのかも、くらいに答えたような気がする。その後も、だんなやBのグループでやるパーティーや旅行に、Fは顔を出すようになった。
私は卒業して間もなく、元の彼氏と別れて、Bの友人である今のだんな“W”と付きあい始めた。BとWは、親友と言ってもいいような、一番近い友人同士だ。
私がWと付き合い始めた頃から、Bはスキンシップをエスカレートさせだした。2人で会えばキスをするようになり、もう少し先まで、するようになった。前の彼氏は大学も別だったが、今度は一番近い友人関係の中でのことだったので、私たちの恋愛の様子がBの目にも耳にも事細かに入る。そのせいで、ちょっと惜しくなったのかと思う。考えてみればBが私を抱くのは、私が他のオトコに熱を上げている時期ばかりなのだ。そんなふうに試す必要なんか無いのに。
私が実家を出て、Wの下宿の近くで一人暮らしをはじめて間もない頃。Bと飲んだ帰り、アパートの前まで送ってきた彼は、お茶でも出してくれるか?と言った。私はBに言われたら、何一つ拒まない。絶対に。
引っ越しの荷物も片付けきらない部屋で、私はBに抱かれた。夢のようだった。
Bの唇が胸を這い、乳首を吸った。盛り上がってくると、私はBに言った。
「歯、立てて……」
Bは激しく乳房を揉みしだき、乳首を噛んだ。
「もっと?」
「もっと……」
Bは私の要求に応えて、もっと激しくしてくれた。
「ユウが激しいのが好きとは知らなかったな」
そんな風に言われて、すごく恥ずかしかった。諦める恋を確かめ続けて、6年目のことだった。
私たちが一つになっている時、深夜、部屋のドアがノックされ、Wの声が聞こえた。私は胸がズキンと痛んだ。Wへの思いが、指先まで痛くなるほどこみ上げてきて、後先考えずに起きあがってドアを開けそうだった。Bはそんな私をしっかりと抱きしめ、身動きができないようにした。私たちは息をひそめ、Wが諦めて帰るのをじっと待った。
引き裂かれるような気持ちだった。どちらも愛していた。恋愛感情だけで考えても、どちらが勝っていると決めつけられるものではなかった。
私はそんなことは悩まない。
どっちも好き、目の前にいるあなたが一番好き。
単純なものだ。
でも、一方と抱き合っている時に、もう一人が現れたら……結局私は原則を貫いて、目の前にいる方を選んだことになるのかもしれない。私はBを追い返してWに電話をかけることもできたが、そうはしなかった。
Wが帰ったあと、私たちはそれ以上続けることができず、Bの腕枕でいろんなことを話した。学生時代からのいろんな思い出や、私の一番の友人だったT子のこと……BはT子のことを愛していて、それは私も知っていた。Bは、高校時代の司書の先生への想いも話してくれた。
「一番欲しいものだけは、絶対に手に入らないようになってるんだ……」
司書の先生も、T子も、Bの想いに答えることはなかった。
1年半ほど後、Bは学生時代から付き合っていた年上の彼女S子さんと結婚し、その翌年の同じ日、私はWと結婚した。
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Fはそちらのグループとはつながりがなかったが、誘ったら意外にも来ると言った。たぶんFは、その旅行ではじめて、私がだんな以外にも好きなオトコがいると知ったのだと思う。
私は入学当初からBのことが好きだった。Bは私の気持ちは知っていたが、それに応える代わりに、部活のボスと部下としての、特別な信頼関係を築いてくれた。Bへの恋愛感情は最初からずっと、諦める恋だったが、2人の関係はそれなりに幸福なものだった。それでも1年目、2年目は、私はクラブの飲み会があると潰れて記憶がなくなるまで飲んだ。部長だったBが、そのたびに家まで送ってくれた。無様なところをたくさん見せた。酔いつぶれているのだから、文字通りキレイなもんじゃない。でもBは一言も私を叱らずに面倒を見てくれた。卒業後、その頃の話題が出た時、Bに言われた。
「俺がいる時だけ荒れたもんな~、ユウは。覚えてないだろうけど、いろいろあったよ。ちょっとした田舎だったらお嫁に行けなくなっちゃうようなことも」
その内容は……怖くて聞けなかった。せっかく忘れてるんだから。
当時、同級生の友人たちは、Bが誰それと付き合っているとか、それとは別に年上のステディな人がいるとか、いろいろと親切に教えてくれた。感情がざわつくことはあっても、Bへの特別な信頼が揺らぐことはなかった。入学して2年目には、私の方にも彼氏ができた。
Bと肉体関係ができるのは、私の卒業後だ。Fを旅行に誘った当時、Bとは一度だけ寝た後だったかもしれない。でも基本的には、キスと、もう少し先までの関係だった。
Bは、もともとスキンシップがオープンでオーバーな方なので、女の子たちとの距離感が近い。彼女でもない女の子でも、肩を抱いたり膝に乗せたりというのが、わりと平気で出来てしまう人なのだ。旅行中、だんながいないところでは平気で私の肩を抱くBを見て、Fは何か感想を述べていた。自然にああいうことができて、エッチな感じじゃないし、スゴいなぁとか、いいなぁとか、そんな感想だったと思う。
Bの方は、Fっておまえのこと好きなの?と聞いてきた。さぁ、そうなのかも、くらいに答えたような気がする。その後も、だんなやBのグループでやるパーティーや旅行に、Fは顔を出すようになった。
私は卒業して間もなく、元の彼氏と別れて、Bの友人である今のだんな“W”と付きあい始めた。BとWは、親友と言ってもいいような、一番近い友人同士だ。
私がWと付き合い始めた頃から、Bはスキンシップをエスカレートさせだした。2人で会えばキスをするようになり、もう少し先まで、するようになった。前の彼氏は大学も別だったが、今度は一番近い友人関係の中でのことだったので、私たちの恋愛の様子がBの目にも耳にも事細かに入る。そのせいで、ちょっと惜しくなったのかと思う。考えてみればBが私を抱くのは、私が他のオトコに熱を上げている時期ばかりなのだ。そんなふうに試す必要なんか無いのに。
私が実家を出て、Wの下宿の近くで一人暮らしをはじめて間もない頃。Bと飲んだ帰り、アパートの前まで送ってきた彼は、お茶でも出してくれるか?と言った。私はBに言われたら、何一つ拒まない。絶対に。
引っ越しの荷物も片付けきらない部屋で、私はBに抱かれた。夢のようだった。
Bの唇が胸を這い、乳首を吸った。盛り上がってくると、私はBに言った。
「歯、立てて……」
Bは激しく乳房を揉みしだき、乳首を噛んだ。
「もっと?」
「もっと……」
Bは私の要求に応えて、もっと激しくしてくれた。
「ユウが激しいのが好きとは知らなかったな」
そんな風に言われて、すごく恥ずかしかった。諦める恋を確かめ続けて、6年目のことだった。
私たちが一つになっている時、深夜、部屋のドアがノックされ、Wの声が聞こえた。私は胸がズキンと痛んだ。Wへの思いが、指先まで痛くなるほどこみ上げてきて、後先考えずに起きあがってドアを開けそうだった。Bはそんな私をしっかりと抱きしめ、身動きができないようにした。私たちは息をひそめ、Wが諦めて帰るのをじっと待った。
引き裂かれるような気持ちだった。どちらも愛していた。恋愛感情だけで考えても、どちらが勝っていると決めつけられるものではなかった。
私はそんなことは悩まない。
どっちも好き、目の前にいるあなたが一番好き。
単純なものだ。
でも、一方と抱き合っている時に、もう一人が現れたら……結局私は原則を貫いて、目の前にいる方を選んだことになるのかもしれない。私はBを追い返してWに電話をかけることもできたが、そうはしなかった。
Wが帰ったあと、私たちはそれ以上続けることができず、Bの腕枕でいろんなことを話した。学生時代からのいろんな思い出や、私の一番の友人だったT子のこと……BはT子のことを愛していて、それは私も知っていた。Bは、高校時代の司書の先生への想いも話してくれた。
「一番欲しいものだけは、絶対に手に入らないようになってるんだ……」
司書の先生も、T子も、Bの想いに答えることはなかった。
1年半ほど後、Bは学生時代から付き合っていた年上の彼女S子さんと結婚し、その翌年の同じ日、私はWと結婚した。
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