懐かしい話もある程度したあと、

チカが言い出した。




姉ちゃん、もう就職したんだし、

そろそろ会うのやめようよ。

私らはもう大丈夫だよ。



話がよく見えない私に今度はヒロが言った。




うん、姉ちゃんには色々助けてもらったし、

正直感謝しかないから言うけど、

もう会うのはやめたほうがいいよ。





私らちゃんと真面目に働いてるからさ、

もう心配しないでいいよ。

今日で終わりにしようよ。




ちょっと待って。

姉ちゃん意味わからないんだけど、

父さんに会っちゃダメって言われたからなの?



いや、それもあるけど。

父ちゃんの会っちゃダメの意味がわかってきたんだよ。

姉ちゃん、住む世界違うんだよ。

もうここらへんで切っといたほうが、

姉ちゃん楽になるよ。







私は良いとこで就職させてもらった。

確かに、世界が違うかもしれない。

そうか、血が繋がってないんだし、

ずっと繋がってく必要ないのか。

でも、1番苦しいとき、一緒に居たのに。

なんか、あっけないよ。


ま、そう言っておいて、

姉ちゃん助けてーって連絡しちゃうのが私らだけどね。

姉ちゃん、
とりあえずそれが私らの気持ちだよ。

サキもそうだから。




サキ、本当にそうだったのかな?

姉ちゃんは今でも後悔しているよ。

サキ、どうしているんだろう。

サキ、幸せになったかな?

サキちゃん、ごめんね。






結局、この後、全員音信不通になった。

ほぼ一斉に、全員の連絡先が変わってしまった。

もう連絡のとりようがない。

きっと、私からの連絡を断ちたいんだな。



その時は、ショックを受けたが、

少し時間が経ったあと、

私はようやく気づいた。

チカもヒロも、私を嫌いではなかった。

でも、好きでもなかった。

自分たちだけ、お母さんに、

実のお父さんにさえ、

ひどい扱いを受けてきたのに、

私だけはいつも特別扱いされていた。

カホは出来がいい、

お前らは出来が悪い。

私は殴られたこともなければ、

一番頑張ってると褒められていた。

私は姉として面倒を見て、

彼らを守っているつもりだったが、

それは私の独りよがりの気持ちに過ぎない。

彼らはずっと、私を必要だったけど、

同時に不平等の扱いに苦しみ、

私を妬んでいたすらあったかもしれない。

それは人として当然だ。

彼らは別に面倒見の良いお姉ちゃんなんて要らない。

欲しかったのは親に愛されることと認められることだ。

私と一緒にいると、

いつまでも自分が否定される気分になってしまうのだろう。

もう私からは、連絡を取るのはやめよう。

そう悟ったのだが、

ただ、サキだけは、違う考えかもしれない。

サキだけでも、どうしてるか知りたかった。





あれから数年後、彼らは元気にしてるか、

どうしてもひっかかってしまう。

私は、名前をネットで検索した。

悲しいことに、

ヒロは詐欺罪で逮捕されてしまった。



チカとサキの行方は、

今でもわからない。

私と家族の関係は終わってしまった。