一番好きな人とは結婚できないものだ

そう聞いたことがある。

私が一番好きだった人、

それは初めてお付き合いした人だった。



大学に入ってから、

みんなでよく集まって飲んでた。 

友達の友達と遊ぶなんていうこともしょっちゅうあった。

コウちゃんとの出会いもそこから始まった。




コウちゃんは、大学入学で上京した人だ。

私とは違う大学だった。

人を笑わせるのが上手で、

コウちゃんがいると必ず盛り上がった。

頭が良くて話術がある人だったし、

綺麗な顔立ちをしていた。 

男性なのにオシャレには手を抜かず、

洋服のセンスがとてもよかった。

オシャレなカフェや音楽にも詳しくて、

若い割には女の子扱いがうまかった。




告白は私からだった。 

コウちゃんは少し考えたが、

いいよと言ってくれて交際がスタートした。




コウちゃんは、とても優しかった。

私が家を出て間もない頃、

弟妹を置いてきた罪悪感からか、

夢でよくうなされて夜泣きしていた。

チカとヒロがお父さんに包丁で刺された夢とか、

サキが私を責める夢とか、

お母さんが自殺する夢とか、 

毎回夢から覚めると大泣きしていた。

居るはずないのに、

父さんと母さんが大喧嘩して怒鳴りあっている声が聞こえたり、

夜中に突然怯えたりすることもよくあった。



その時はコウちゃんがいつも優しく受け止めてくれた。

私は泣きながら家のことをコウちゃんに話した。

私の生い立ちを最も知っているのはコウちゃんだ。

彼は、カホが1番可哀想だとよく言っていた。

私は、
コウちゃんが私の1番の理解者だと思っていた。

そして、コウちゃんにだけは、

ありのままの自分をさらけ出せた。

素直にワガママすら言える相手でもあった。




しかし、コウちゃんには不安な点があった。

コウちゃんは、金遣いが非常に荒かった。

実家が裕福で、

私以上の仕送りをもらっていたが、

いつも半月で使い切ってしまう。

だから次の仕送りがくるまでは、

私がデート代や食費を出していた。

オシャレにお金を使いすぎる人なのだ。




結局私は、大学に1度、社会人に2度ほど、

こうちゃんに別れを告げるが、

毎回コウちゃんからやり直したいと連絡がくる。

私もなんだかんだコウちゃんが忘れられず、

やがて腐れ縁かもしれないと思うようになった。