社長は私の会社に来る用事があると、

必ず様子を見に来てランチへと連れて行ってくれた。

会社を斡旋してもらって、

本当によかったと思う。

そんな話をした。

社長は、微笑みながら、

おまえさんは、思った通り評判が良い。

ボクも、鼻が高いよ。

でもね、ボクが手伝えるのは、

会社を紹介することぐらいだよ。

その先はおまえさんが自分で上がってくんだぞ。

自分の人生を拓いていきなさいな。


紹介がなければ私には無縁の世界だった。

社長が足長おじさんにすら見えた。






会社の子たちは、

当時で言えば腰掛けOLで、

結婚して寿退社がほとんどだった。

自分たちのお給料はお小遣いみたいなもので、

実家が裕福だから、

苦労知らずに育った子ばっかりだった。

彼女らからすれば、私は面白い子だった。

何であんな一生懸命仕事をするのか、

自分の感情を出さずにいつも笑顔なのか、

なんで有名な茶菓子やお土産とか、

老舗の看板メニューを知らずに今までやってこれたのか。

ましてちょこちょこ作法も間違える。

もう同期らに隠すのは限界だった。

仲良くなった頃に、カミングアウトをし出した。

できれば内緒という条件つきで。

ふーん、そうなのねー。なら納得だわ。

さほど興味を示さなかった。

私はあの小中時代のヒソヒソ噂話がトラウマだったので、

塩反応には正直面食らった。

生活に余裕がある人は人に対しても余裕があるものでしょう。

出身が違うからって冷たくされることもなかった。

もちろん、噂になることもなかった。





しかし、働きながら私は思った。

私は、みんなと同じように、

寿退社することは可能なのか?

私は、さらにステップアップしないとダメじゃないか?

私は結婚をしないかもしれない。

結婚しても離婚をするかもしれない。

この仕事で一生働くのは可能か?

私は、転職する必要があるんじゃないか?

這い上がる必要は、まだまだあるんじゃないか?



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