チカは、ストレス発散で万引きをしていた。
自分でも何を取りたいのか深く考えずに、
ただ万引きをしたようだ。
だから、盗んだものは統一性が全くない。
欲しいから盗るんじゃない、
盗りたいだけだった。
あそこのスーパーには何度も許してもらって、
他の店も許してくれた。
だから、また許してもらえるかなと思った。
知らないところで、
こんなに常習化していたなんて、
姉ちゃんは絶句してしまった。
チカ、嫌な事たくさんあるよね。
姉ちゃんも分かるよ。
姉ちゃんより辛いしね。
でも、万引きで捕まったら、
あんたもっと人生がひどくなるよ。
姉ちゃんそれは嫌だよ。
自分を大事にしようよ。
もうそれしか言えなかった。
チカは淡々と、
もうやらない
と言った。
チカはいつでもそうだ。
感情のない言い方をする。
感情がないわけではないのに。
でも、あれから定期的に、
姉ちゃん、私、やってないよ
と報告してくれていた。
彼女なりにやめた自分を肯定したいのだろう。
ところで、
あのとき保護者じゃない私が呼ばれた。
それはチカのお願いもあったが、
チカの両親がヤバいことを、
スーパーでも知れ渡っていたからだろう。
狭い町だからね。
ウチの親なら、逆ギレしかねない。
だから私は、
両親には万引きの件一切言わなかった。
殴られて終わりなら、言う必要はない。