チカやヒロがどうして殴られるか、

後に私は分かるようになる。




チカは虚言癖があった。

ありもしないことを平然と言える子だった。

チカは5歳で母親を亡くし施設に入った。

自分を守るためのウソをつく癖がついたのかもしれない。

頭脳犯的なウソつきではなく、

思いつきのまま言ってしまう子だった。




問い詰められてウソがバレると、

うん、○○だった〜へへへ。

笑って済ますのだった。

全く罪悪感もないようだった。

物事を深く考えない。



一緒に生活すると、

チカは本当にどうしようもないことでウソをつくことが多いとわかってきた。

適当に言ったり、

構ってほしくてつくウソも多かった。

ただ、悪気を私は全く感じなかった。



私より1年早く同居したチカとヒロは、

学校で既に問題児だった。

学校でもチカはウソつきで、

同級生から嫌われていた。

チカは提出物や道具を忘れることが多かった。

それを継母がわざと揃えてくれないからだと涙を流しながら先生に訴えたらしい。

鵜呑みにした先生はお母さんを呼び出し、

母を責めたらしい。

その一件から母とチカの間には深い溝ができた。




けど、チカのウソは次第に減ったと思う。

少なくとも私にはウソをつかなくなった。

大人がもっとあの子と向き合っていたら、

多分あの子はウソを言わなかったと思う。

誰もあの子をちゃんと見てあげてなかった。

すぐにあの子を責めた。

なんでウソをつくのか、

誰も考えてあげなかった。

悪いのは、チカじゃないのに。

だから私はいつもチカの味方をした。