ついに帰らなければならなくなった私たちは渋々駐車場に行き、彼の車に乗り込んだ。


名残惜しさを残しつつ車は出発した。待ち合わせした駅に向かう途中、私たちは色んな話をした。子供に読んであげた本で泣いた話、その時流行っていたたテレビアニメは味方が死んじゃうから見られないだとか、そんななんて事ない会話でも彼とならとても楽しかった。

江ノ島から駅までたいした距離ではないが、彼が迷ってくれたおかげでその分一緒にいられる時間が伸びて嬉しかった。


駅に着いてしまいさよならの時間となった。名残惜しかったが、再びキスをして私は車を降りた。

いつ渡し合ったのか記憶が曖昧だが、彼はプレゼントを用意していてくれていた。

疲れやすいと言う会話を覚えていたようで、疲れに効く入浴剤とふわふわのフェイスタオル。

私もお礼を用意していたので手渡した。

今まで初めて会う人にお礼を渡すことはあってももらうことはなかったので心の底から嬉しかった。

大切に想ってくれている、そう思えた。


駅まで歩きながらさっきまでの事を思い出し、ニヤニヤしていた。


マスクが欠かせないご時世で良かった。


電車を待っている間、彼にお礼のLINEを送り、運転中と分かりながらも早く既読にならないかと画面を見つめていた。