先週の土曜日に右手を怪我した。

親指と人差し指の裂傷。特に人差し指の損傷は酷く、肉がむき出しになっている。日頃から生傷の絶えない私だが、このような大怪我は初めてだった。

 怪我をした瞬間、痛みとか恐怖とかではなく、これは困った事になったなと思った。2日後に仕事が入っていたからだ。仕事と言っても本業のカウンセリングの仕事ではない。大手ホームセンターの物流倉庫で家具の運搬や検品をする副業の方の仕事である。


 私は個人事業主として税務署に開業届も出してカウンセリング業を営んでいるが、まだとても生計を立てられる状態ではない。

 お金儲けのためにやる仕事ではないので、元々資金がなくなったらアルバイトでもしながら気長にやっていくつもりだった。そして、ついに資金が底を着き、派遣会社に登録し、年末には1ヶ月の期間限定で大手宅配便会社で荷物の積み込みの仕事をした。

 いわゆる肉体労働だったが、元々人一倍体力があり、筋力、持久力にも自信があるので、体を動かす仕事は得意である。昔は普通のOLをしていたが、もはやデスクワークはあまりしたくはない。椅子に座っていると眠くなってしまうし、脚もむくむ。ずっと座ったままでいるより、ずっと動き回っている方が疲れない。


 宅配便会社の荷物の積み込みの仕事はかなりハードだった。繁忙期だったので当たり前だが荷物の量も多い。シューターから次々と流れてくる荷物を、素早くカゴ台車に積み込んでいくのだが、バカみたいに思い荷物がまとまって流れてきたりするとかなりきつい。同じ派遣会社から一緒に入った仲間は、次々と体調を壊し、毎日誰かしら欠勤していた中、私だけは皆勤賞で、最後まで週5日しっかりお勤めを果たしてきた。


 楽しかった宅配便会社の仕事も年末で終わってしまい、次に入る仕事を探していたところ、見つけたのが大手ホームセンターの物流倉庫での仕事である。こちらの方はレギュラー勤務ではないので、仕事がある時だけ募集があると言う形だったが、とりあえず一日仕事に入ってみた。

 宅配便の仕事と違い、扱っている荷物が家具なので、こちらでの仕事は運搬の仕事は男性、検品の仕事が女性と割り振られていた。

 しかし、荷物の振り分けが済むまで検品はできない。男性陣が家具を運んでいる姿を見るとうずうずしてくる。すると、出来る範囲で構わないので、小さくて軽い物があったら運搬の手伝いをして下さいと声が掛かった。

 待ってました!やっと出番だ。

身体を動かす仕事をするとうきうきしてくる。あまり力仕事などしそうにない外見をしているらしく、自慢の筋肉を駆使して重い荷物を平然と持ち上げたりすると、男性から賞賛の目で見てもらえたりする。この日も荷物の振り分けの手伝いをした後、検品作業をしていると、現場責任者の方が近づいて来てこう言った。

 「さっきはいい動きをしていましたね。これからも是非入って下さい」


 私はとても嬉しかった。そして、同じ現場の仕事が翌週の月曜日にもあったのですぐに申し込みをしたところ、派遣会社の方から仕事確定の知らせをもらい、喜んでいた矢先に今回の事故が起こってしまったのだ。

(その2に続く)