文字通りのダークホース 『探偵オペラ ミルキィホームズ』 | リュウセイグン

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長文多し。

久しぶりの記事ですね。
秋アニメは良い感じな作品が結構あって順当なんですが、順当すぎてあんまり語る事もないっていうのと、映画にしても最近全然観れてないのであんま書いてなかった訳です。





そんな優良ながらも地味な秋アニメに殴り込みをかけてきたのが

『探偵オペラ ミルキィホームズ』

です。去年で言えば『ミラクル☆トレイン』の位置で、それよりも更にキている感じの



素晴らしい糞アニメです


まず『探偵オペラ』というジャンルがよく分かりません。
オペラ? 歌うの?
ところが脚本家の談 によると


ちなみにスター・ウォーズはスペースオペラっていわれるけど、歌ったりしませんよね。
探偵オペラのオペラもたぶん、そんな感じです、たぶん!



とのこと。スペオペの由来については、元々昼ドラみたいな適当な作りのドラマがあり、石鹸会社の提供だったりしたのでそれがソープオペラと呼ばれており、更に安っぽい西部劇がホースオペラと呼ばれ、その宇宙版みたいなのだからスペースオペラだよね! という蔑称から由来していると言われています。
結局歌わないんですが、今探してみたらラテン語由来で『創作・作品』の意味みたいですね。
しかしミルキィホームズについてはゲーム版の主人公で彼女たちの師匠が小林オペラという名前らしいので、それが由来かもしれません。
正直その名前もどうなんだという感じはしますし、少なくともシリーズ構成すら何の『オペラ』か理解していないのは確実です。

で、話の概要としては。



シャーロック・エリンフォード
譲崎ネロ
エルキュール・バートン
コーデリア・グラウカ



の四人が色々な事件を解決するというアニメ……では全くありません
多分ゲームの方はそんな感じなんでしょうが、アニメは違います。

このアニメは、優秀だった彼女たちが如何に人間のクズであるかがこれでもかと言うほど描かれた作品です。彼女たちの世界にはトイズという超能力があり、彼女らはその力を使って探偵学園でも一目置かれる存在でした。
が、アニメの第1話開始五分くらいで理由もよく分からないままトイズが消えます
劇中では一回使っただけ。雷に撃たれて消えたらしいのですが、何故そうなったかは誰にも分からない。
そんな訳で、彼女たちは身一つで生きていかなければならなくなりました。
ここらだとまだスポ根ものっぽい展開として考えられなくはないのですが、

ところがどっこい

この作品ではミルキィホームズがどのくらいクズであるかという描写になってきます。
どうやら彼女たちは今まで能力に頼り切って全員個室(扉の位置が不自然)・食事も超豪華・授業単位も免除(学校の意味ねー!)といった様々な特権を欲しいままにしてきた事が明らかになります。
そんな状況ですから能力が消えたとたんダメ人間ぶりを発揮するのです。

そんなミルキィホームズを見かねて怪盗アルセーヌの世を忍ぶ仮の姿で探偵学園の生徒会長であるアンリエット・ミステールはある計画を立てます。

怪盗チームは四人しか居ないのに怪盗帝国とか名乗っちゃうお茶目さこそあれ、露出狂でナルシストで乳首が常時立ってる一人を除きミルキィホームズよりも遙かに常識人です。


部下三人はアンリエットの意図を「ミルキィホームズを苦しめる為」と考えます。
ただ文脈を読むとアンリエットとしてはミルキィホームズにライバルで居て欲しいのだと推察されます。


しかし生徒会長もまた大探偵時代の人間でした。
彼女がやったのはトイズのデモンストレーションでミルキィホームズの大切な写真を強化ケースの中に入れて爆破しようとします。彼女たちの念動力・機械操作・五感強化・怪力の中でどれか一つを発動出来れば合格。

ところがミルキィホームズ達は他のメンバーを貶める程の自己顕示欲を見せる割にちっともトイズを発動させられず写真は見事に爆破されます

普通こういう時は爆弾がダミーだったりするんですが、大探偵時代の探偵学園の生徒会長は容赦ありません。

退学通告(何故生徒会長がそんな事出来るのかは不明)を突きつける生徒会長。
ただしミルキィホームズ達が三ヶ月でトイズを取り戻せば残留という条件を出します。

「生徒会長、ありがとうございます!」


と、さっき想い出の写真を爆破した奴に感謝するミルキィホームズ
この後、待遇が露骨に悪化したので失敗の原因を仲間になすり付ける辺りに人間性が伺えます。



二話では更に仲間割れします。
コーデリアさんは金髪にピンク色の花が散りばめられているちょっと変わったキャラデザなので、見ていて「こういう設定なのかなぁ」と思っていたら

「あんたの髪についている花びら何!? あんたの頭がお花畑ってこと!?

と容赦ない弾劾を受けます。

同じJC作品で似たようなキャラ がいましたが、あの四人組は幾らギスギスしていても、その話題には触れず、ましてや悪口には決してしませんでした。
その禁忌を破って2話目にして堂々と罵倒する。

ミルキィホームズのクズっぷりが垣間見えようというものです。

しかもコーデリアさんの頭脳は本当にお花畑で常に現実逃避していることが明らかになります。
食事のグレードがじゃがいも一個と、壊血病になりそうなレベルに落ち、ミルキィホームズ内の関係も悪化。
それを悲しんで80年代の少女マンガみたいなハート口を作りながら思い描くはミルキィホームズの仲睦まじい姿……少しでもうまい棒のカスを吸い込もうとしている醜い現実との乖離に涙を誘います。

カマボコと名付けた猫のお陰で一応ながら和を取り戻したミルキィホームズ。
このカマボコがまた驚くほどぶっさいくで少しも可愛くありません。
ついでにカマボコは給食ドロボーでもありました。

みんなのカマボコ(と、脳内お花畑)を守る為、コーデリアさんは自らが濡れ衣を被って探偵学園の座敷牢みたいな場所に投獄されます。コーデリアさんは妄想の中で悲劇のヒロインになりつつみんなのお花畑な光景を思い浮かべて牢屋の壁に落書きをしながら一人で笑っています


わたしは……わたしはジャンヌ・ダルク!!


結局カマボコが犯人だと判明したのでコーデリアさんは(脳内)楽園から追い出されます。
ちなみにミルキィホームズは2~4話までもれなく投獄されており、しかも食事の待遇は普段より良いので、今後牢獄は彼女たちの別荘になるでしょう。

とまぁ1~2話のあらすじを簡単に述べてみましたが、こんなアニメです。
漫然と見てしまうと意味の分からない下らないアニメなのですが、積極的に作品にツッコミ入れるのが好きな人間にはたまらない作品です。

ただ単なるツッコミではまだまだ甘い。
ボーガーが「○○ないいチャージインだ!」「さすがリュウセイさん!」と語って初めて上級ボーガーと呼ばれるように、「さすがネロさん、俺たちには出来ない事を(ry」などと語れて初めてこの作品を受け入れたと言えるでしょう。

ニコニコで公式配信されているので、私も研鑽を重ねて上級シャーロッキアン(でも上級コーデリアンでも上級ミルキストでもいいんだけど)を目指したいと思います。

ちなみに4話は好評ではあるようなのですが、個人的には分かり易いネタなのでやや物足りなくも感じました。
何処かがおかしい……というのを探して受け止めて味わうところに醍醐味があるので、「ここが笑いどころですよ!」ってなってしまうと少し違和感があるのですね。
もちろん面白い部分も沢山ありましたが、1~3話のノリとは少し違うかなと。

まぁ兎に角未知数の作品なので、これからもどんどん超越していってくれる事を祈ります。