バルサの食卓 | リュウセイグン

リュウセイグン

なんか色々趣味について書いています。

長文多し。

精霊の守り人&獣の奏者feat.南極料理人!





食べ物にあまり頓着しない割には食べ物についての本(魯山人とか小泉武夫さんとか)が好きな僕にとって、以前から気になっていた本。

とは言えちょっと薄いしなぁ……なんて思いつつ購入したのですが、買って良かった!

何故なら表紙に共著でチーム北海道と記されているだけだったのですが、序文でビックリ。



(序文引用)
私の頭の中にしかない、異世界の料理を引き受ける人がいるなんて、なんとまあ、奇特な方がおられるものだ、と驚いたのですが、この「ファイティング・スピリッツとフロンティア・スピリッツと、なんとかなるさ精神」を併せ持った不思議な料理人が、西村淳さんとそのお友達のイデ妙子さんだったのです。



な、南極料理人キターーーーーーッ!



獣の奏者(僕はエリンから上橋作品に入ったので)などに出て来る料理を南極料理人が作る!

まさに俺得・夢のコラボレーション!!

スタンド使いは引かれ合うが如く、相変わらず俺の好きな物同士も引かれ合うぜ!

という感じで、メッチャテンションが上がったのでした。

実際作る料理も美味そうなんだこれが。
エリンに出て来るファコ(ジョウンの家で食ったやつ)なんて見ただけで食欲をそそられる。

更にそう言った料理に纏わるエピソードが短いエッセイで記されていて、上橋さんの食べ物についての視点の鋭さに唸らされる。
人類学者にすれば食べ物というのは文化の象徴であり地盤だ。
だから僅かな描写であっても、その中には例えば異文化に接した人間や異文化で暮らさなければならなくなった人間の戸惑い・情感などが隠されている。
それと共に、疲労困憊した状況で人が食べ物に接した時の安心感など、特殊な状況の臨場感を持たせるディテールとしても機能している。

単に美味しそう、だけではなく物語を演出する小道具として存在しているのだ。

ただ、そんな小難しい事を考えなくても普通に「美味しそうな異世界料理本」として読めるのが本書。

上橋さんの豊富な経験と物語的深慮遠謀に膝を打つも良し、「美味そ~、今度作ってみよ」なんてちょっと変わったレシピブックとして使うも良し。

色んな意味で楽しめる本だ。