最低予算映画VS最高予算映画
そんな訳で『パラノーマル・アクティビティー』(めんどいので以下パラノ)と『アバター』を観て参りました。
本当は『アバター』じゃなくて『(500)日のサマー』でも観ようかと思っていたんだ、うん。
ところがね、近所じゃやってないんですよ。
近所どころか近隣各県レベル? そこまでは調べてないけど。
だから仕方なく、もとい注目作のある『アバター』にしたのです。
後で気付いたんですが、アバターの予算が3億ドルくらいだそうです。
今までがスーパーマンの2億6千だか7千万らしいので、多分最高額。
対してパラノの予算は135万円!
調べてみたら『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』の半分!!!
今のレートで言えば丁度1万5千ドルくらい?
きっとアバター予算「3億円くらい」の3億はおいといて 【くらい】 の1000分の1レベルじゃないでしょうか、予算。
凄い差ですね。
意識していなかったのに本年度どころかインディーズとか考えなければ史上最高レベルで制作費に差のある映画二本を同時に観る、これも貴重な体験かもしれません。
ではそれぞれ
『パラノーマル・アクティビティー』
ロバート・ワイズ『たたり』みたいな(観てませんが)作品。
ようするにポルターガイスト物です。一応作中の感じでは心霊と言うよりも悪魔っぽい。
クリーチャーを一切見せないで音響や小道具を用いて恐怖を表現する術は見事。
姿のない物、の姿を想起させる……というのが観客にとっても怖い事。
見せ方には確かにセンスがあります。
一方で調べて予告などを観てしまっている僕的には大体知ってるシーンなので、そこまで強烈なインパクトは無かったかも。これは後半はもっと露骨に色々あっても良かったか。
主人公は昔っから超常現象に悩まされてるケイティ(女)と、その彼氏ミカ(男だよ)。
あとは心霊学者とケイティの友達くらいしか居ない。
POVと言って手持ちカメラ、乃至それを固定した物を使ったモッキュメンタリーです。
ケイティが困っているのでミカはそれを撮影してみよう……って感じでカメラを買ってきたのですが、
このミカが
歩く死亡フラグ
もしくは
一級(死亡)フラグ建築士
事あるごとに悪魔を挑発する。
ダメって言ってるウィジャ盤(こっくりさんみたいなの)を持ち込んでくる、でも専門家には相談させないというフラグの立てっぷり。
最初は悪魔とか信用してなかったのに扉が動いてただけで信じちゃう辺りも純粋なんだかよく分からん奴で、兎に角コイツの空気読め無さがハンパ無かった。空気読め無いという言い方はあまり好きじゃないけど、そうとしか言いようがない。
で、ケイティは俺が守る! とか言うんだけど、やることは
クレンザーみたいなのを捲いて悪魔の足跡が付くかどうか確認……
って
それ問題の対処にならんだろ!
物語的には超常現象の加速ッぷりよりケイティとの間にどんどんひびが入っていく方が不安でなりませんでした。色々と謎は残るんだけど、この手の映画の謎は考えられていないか大したことはないのが通例なので気にしない方が吉。
『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』然り『クローバーフィールド』然り『REC』然り。
実はラストシーン、オリジナルと映画公開版の2バージョンあって、俺はオリジナルの方が好き。
公開版は続編前提と言ったところですが、ぶっちゃけそこまで大差はないです。
続編はしょうもなくなりそうだしなぁ。
お次は『アバター』
これはですね、なんと申しましょうか……。
「キャメローン、いつものお願い!」
キャメ「あいよ~!」
と言って出された料理が物凄い豪華に盛りつけられていて、キャメロンの顔を見たら
「今日、誕生日なんだろ?」
って言って笑いかけてくれました。
でも、味は対して変わりませんでした。
↑こんな感じです。
とても豪華な普通の料理。
この前ちょっと語った「いわゆるハリウッド映画」な感じ。
映像表現は凄い、でもお話は「あー、なるほどね。うんうん」みたいな。
ガジェットの使い方とかも上手いんですけどね~。
なにかグッと来るものがあまり無い。
不思議な感じ。迫力はあるんだよ、しかも3Dなんだよ。
ただ位置のせいか3Dも中途半端な印象を受ける。
『カールじいさん』もそうだったんだけどなぁ、正直この3Dどうよ? って気持ちはある。メガネ重いし。
そのせいか映像もなぁ……カッコイイんだけどね。難しいわ。、
そんで『トランスフォーマー』みたいな頭が悪すぎて逆に笑えてくるタイプでも無い。
ちょっと困った映画。
キャメロンらしく女の尻にひかれたがる男は健在で、今回は初っぱなからカカア天下。
パンフでようやく知ったんだけど、原住民ナヴィを研究して、アバタープロジェクトの中心人物になっている科学者のオバサンがシガニー・ウィーバーだった。
だって明るい金髪だったんだもん、気付かねーよ!
俺の中では黒髪モジャモジャ短髪がデフォなの!
でもよかったかもしれない。もし分かってたら、
いつナヴィを虐殺しはじめるのか
ドキドキしなきゃいけなかったからね(しませんでした)
この作品は『ダンスウィズウルブス』とかポカホンタス絡みの映画にも似ているとは聞いていたけど、要するに「白人酋長物」と呼ばれるジャンルの映画なんだなぁ、と途中で気が付いた。
エメ公の『紀元前1万年』辺りがそれに該当するんだけれども、異邦人がその土地の人間を纏めて侵略者を倒す……という映画。
大体に於いて、異邦人はお告げを受たり、神聖視され、試練を乗り越えて選ばれた英雄になる。
そして英雄が色んな部族を合流させて反逆戦争を行うのだ。
ここら辺は神話的でもあり、また日本の異世界ファンタジーとかにもよくある設定な気がする。
ともあれ、アバターはまさにそのプロットを踏襲しており、観ながら「あぁ、コレはここに来るんだな」という予想がとっても楽。
あと脇役の扱いが結構酷いので、色々と可哀想になってくる。もっと活躍させてあげようよ! とかもっといい形で散らせてやろうよ! みたいな。
主役と脇役の立場がちょっと明確過ぎて依怙贔屓に見えるんだよな~。
今思えば、町山さんが初日に観に行って感想を配信していた時、歯切れが悪かった理由がよく理解出来る。
ただ映像は頑張ってる。
さっき言った事と違うように聞こえるかもしれないけれども、壮大でダイナミックなのは間違いない。
色々頑張ってるし、迫力はある。
主観的な感想としては映像にしろアレな部分もあるのだが、
惑星の景色(と戦争)を見学する為に行くくらいのつもり
で観れば、結構良いんじゃないかな。
なんのかんの言ったけど、物語としても王道だから分かり易いし、沢山の人が楽しむ事を考えると手堅い造りじゃないかと思う。