獣の奏者 エリン 第29話 「獣の牙」 | リュウセイグン

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第26話「リランの心」に一部通じるエピソード。
26話では、リランが恐ろしそうに見えて実は何でもなかったよ、という形で見せましたが今回は平和そうに見えても危険が潜んで居るんだよってのがテーマですね。

実際、動物なんてのは何処で凶暴になるか分かりません
人にとっては何気ない事でも、嫌な時は抵抗の意志を表します。
今回は逆鱗みたいな物があるのかなぁと思っていましたが、単に刷毛の梳かれ方が気に食わなかったようです。
逆に言えば、どういう状況で再発してもおかしくはないと言うこと。

完全に子供として扱っていた状況から一転、エリンにも視聴者にも獣と人の関係を考えさせる重要なエピソードでした。エサルも先週の柔らかさから打って変わって(結局エリンの事を考えて、ですが)厳しく対処をします。

しかし無理を通して道理を蹴っ飛ばすエリンは、やはり獣との共生、或いは「理想的な関係」を諦めない。

それでいい

もちろん、現実的に考えれば「理想的な関係」になったところで利というのはあまり無い訳です。
そして達成は困難

だからといって分かったような事を言って抛ったりへこたれたりはしない。
決して諦めずに、常に先を、理想を目指す。
個人的な好みに過ぎませんが、僕は物語の主人公ってこういう形で良いと思っています。

近年ではなんか「浅い考えで人生分かっちゃってるようなキャラクター」が多い気がする。
もちろんそういうキャラが上手く作用する話もあるんでしょうけど、大半はスタイルというかカッコ付けでやってるだけの印象。
そんなんだったら、無理な理想を目指すバカ野郎(少女)が主人公のがよっぽど良い

エリンって言うのは、そういう意味でド王道な人なんですよね。
理念を持っていて、壁があっても悩んでも、最終的にはそこへ帰っていける人
だから見ていても全然嫌じゃないんだろうな。
エリンが初心に返った暗喩のように、最近持っていなかった竪琴を取ってリランの元へ戻るのもいい感じ。

そしていよいよ次回からはエリンが最終形態(多分)に突入する模様です。
つまり今回は少女期エリンの最終回でもあった訳で、エリン自身と獣のあり方について根本的な壁を提示して乗り越えさせ、エリン自身のスタンスを決定させる回になっているんですね。ここら辺の構成もお見事。

青年期では、恐らく今まで殆ど別の話として描かれてきた国家的な争いに巻き込まれる事になりそうです。
主題歌も歌い手なんかが変わるみたいだし、非常に楽しみだ。