『JUNO/ジュノ』さんマジパネェwwwww | リュウセイグン

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なんか色々趣味について書いています。

長文多し。

コメディに必須である技能の一つは、言語センスである




評判がいいっていうのと、コレを書いた脚本家ディアブロ・コーディの次作が出るので『JUNO/ジュノ』を観てみました。


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ハートフル・コメディと銘打たれているらしいので趣味に合わなさそうだと正直構えていたが、ぶっちゃけかなり面白かった。やはり向こうでキチンと評価されるような作品は、ジャンル問わず面白いなぁ……。


話の筋は単純で、16歳のJUNOさんが一夜の過ちで妊娠してしまい、養父母を探し、交流を深めながら出産に近付いていく……というストーリー。


何が面白いのかと言えば、やはり主人公のJUNOさんな訳ですよ。
僕の敬称でキャラクターに「さん」付けする時は、相当特異な存在。

JUNOさんにも、その座をお渡し致しました通り、濃ゆい御方です。
この物語の面白味は、構成などより正直JUNOさんのこましゃくれぶりが大半を占めている様に思えます。
では、そんなJUNOさんの名言録(取意)をどうぞ


なかなか妊娠を信じてくれない親友との会話
親友「(漸く信じて)マジで!? ヤバいよ、激ヤバじゃん
JUNOさん「そうそう、その感じで言って欲しかったのよ


知人との会話
JUNOさん「集中力の出るクスリいる?」
知人「クスリはやめたの」
JUNOさん「その方がいいよ、クスリ飲み過ぎたコがラリってショッピングセンターの噴水に裸でダイブ!!
恐怖の半魚人みたいにキョーレツだったんだから!!!
知人「それ、アナタでしょ?
JUNOさん「………………またね



養父母を探す広告を見ながら
親友「健全なカップル、赤ちゃん求むだって」
JUNOさん「健全な家庭にはあげたくない、面白味がないよ
親友「じゃあコレは? 成功した教養あるカップル、子供求む。5人家族で謝礼もあり。愛の輪を完成させて」
JUNOさん「カルトっぽくてヤダ。子供が三人もいるのに欲深いよ



ようやく見つけた理想的な養父母を目の前に
養母「妊娠って素晴らしいわぁ
JUNOさん「他人事だからよ



縁組みの方法(育成記録を見せるかどうか)についてを聞かれて
しぼりだして渡せばいいんでしょ?


育児記録を見せるようにしたいと言われて
「ヤダ、古い縁組の方法にして。赤ちゃんをカゴに入れて送るモーゼみたいに


更に養父母へ
「ちょっとトイレ貸して。妊娠すると馬みたいにオシッコが出るんだ」


養父に
「あなたの奥さん、支配欲が強そうね



養父がロックの黄金期を93年だと言った事に対して
JUNOさん「違うって、ロックの黄金期は77年。パンクこそサイコー
養父「まさか」
JUNOさん「あなたには理解出来なかっただけ



養父母宅から去り際に
養母「超音波検診とか受けたら色々教えてね」
JUNOさん「そっか、子供の“出来ぐあい”が気になるもんね」
養母「私達を養親にする決意はどれくらい確か? 80%とか90%とか」
JUNOさん
「う~ん……104%くらいってとこ?
できたらすぐにでもあげたいけど、まだシーモンキーみたいでブサイク。もっと可愛くなってから配達する





約三分の一でこの言語センス。
少なくとも僕好みのコメディやギャグには、言語センスか構成力が必要不可欠だと実感しました。
流石JUNOさん!!! とコチラが大喜びしてしまう程の闊達ぶりを見せてくれます。
他にも養父とは結構趣味が合うっぽいんですが、『血の魔術師』 を紹介され、監督であるハーシェル・ゴードン・ルイス を「ホラー界の帝王」と教えられた時は、

「なに言ってんの? ホラー界の帝王はダリオ・アルジェント に決まってるでしょ!?

と怒り、一緒になって『血の魔術師』の、しかもハラワタを潰されるシーンを鑑賞しながら

「マジ凄い、『サスペリア』よりクールじゃん!!!!

興奮するJUNOさん


あの~、結果的にとはいえ


それ胎教ですよね?



と問い質したくなります。
まぁ嬉々として見せる養父も養父なんだが。


ともあれ、こんなノーフューチャーのJUNOさんティーンエイジャーであることには変わりなく、色々な壁にぶつかったり悩んだりします。
でも結局どこか暗くならずに、前へ進んでしまうのがJUNOさんのキャラクターらしくて非常に素晴らしい。

日本の漫画・アニメ・ライトノベルになると、如何に奇抜なキャラクターを作ろうか汲々としている感があるのですが、こういうちょっとズレてるけど魅力的で物語の進行や表現と不可分な個性こそがキャラクターに必要なモノなんだろうなぁと感慨深いものがありました。
もちろんこの作品により若干16歳にしてアカデミー主演女優賞ノミネートになったエレン・ペイジの演技力もそれに拍車を掛けているんでしょうけどね。

しかし、良い物を観た後は気分がいいですね。
正直今期アニメは、出来は良いはずなのに僕の魂を殆ど揺さぶらないので、海外や古典作品のお世話になりそうな予感です。