〖 ⅩⅤ 悪魔 〗
「おぬしが とらわれておるものは なんじゃ」
わしは ただ見ておるだけじゃ
その鎖は おぬし自身の手でかけたもの わかるか
わしは ただ見ておるだけ
そして静かに問おう
おぬしがとらわれているものとは―― いったい なんじゃ
その正体に触れるために いま やるべきことはなんじゃ
暗闇の中でわたしは自らその鎖を手にして
己の首へそっとかけた
そしてつぶやく
わたしは それを許せない
わたしは わかってほしい
わたしは あの人を従わせたい
わたしは あの人を想ってこそこうしてきた
だから、あの人も――
わたしは、 わたしは わたしは・・・
わたしは なんて不幸なんだろう
わたしは こうでないと わたしでなくなる
・・・それは、幻想じゃな
悪魔はぽつりとつぶやいた
「わたしは、こういう縛りを持っているんだな」 という
自分の癖だけは そっと見つけておいたほうがよい
完全に手放すことはできん
また同じ場所に戻ってくることもあるじゃろう
だが 気づいていく過程で
己の鎖のかけ方は変わっていく
執着の形も 少しずつ変わっていくはずじゃ
その変化こそが おぬしの物語を前へと進める
何回でも戻ってきても構わんが
すぐ満室になるから
長居は迷惑じゃからな
